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2006年4月27日 (木)

「天沢退二郎のファンタジー」読書体験

今では、その創作ファンタジーが全てブッキングから復刊済みだ。
私もまた十代の頃から強烈な印象を受け続けていた一人だ。
最初は中学の頃、図書館に収蔵されていたかなりボロの、大和書房の叢書「夢の
王国」の一冊としての「夢でない夢」だった。

後々の作品まで覆う、黒い(イメージの)水のモチーフは既に明確。
ストーリーは公害問題、六価クロムを敵に見立てた(と思う)少年達の戦いの筈なんだが・・・。
そんなことはお構いなしに?説明抜きのシュールな展開が続く。
当時の私は思った。これはタイトル通り、「夢」の展開そのものだ。
私は、子供の頃から夢見が悪く、展開がめまぐるしい夢ばかり見ていた。それと同じ展開だという意味で私はこの本を理解した。
しかし、同時に夢の展開に溺れたままの話に思えた。同書に収録された作品全て同じ印象だった。
天沢が著名な詩人、フランス文学者、宮沢賢治全集編纂者であることは、この後知った。
続けて、近所に新しく出来たばかりの区立図書館で、筑摩書房の叢書「ちくま少年文学館」に「光車よまわれ!」を発見!
(同叢書では、他に小松左京「青い宇宙の冒険」、辻邦夫「ユリアと魔法の都」を前後して読んだ)。
この書の児童書離れした奇怪な魔力?に見せられた人が大勢いたことは、ずうーっと後に知った。
私も同様だが、「夢でない夢」に比べれば、はるかに構成も描写もしっかりした小説らしい体裁になったと感じてむしろ読みやすく感じた。
それでもシュールはシュール、善悪の戦いを描くファンタジーというよりは理解不能なものに魅了されることを知った読書体験だった。
そして「オレンジ党と黒い釜」(筑摩書房)出現!そう、天沢のファンタジーは、書籍発売というよりは「異常物体発見!」「怪獣出現!」という方がぴったりだ。
ここでは、「光車」の人工的で硬質な幻想街のイメージとは逆に都市近郊の雰囲
気で山菜を小道具にして土俗的な描写に変わり、一段と読みやすくなっていた。
ここで予告された、この「オレンジ党」を第一部とする「三つの魔法」三部作の次
が出るまでが長かった。
やがて「魔の沼」「オレンジ党、海へ」で無事完結、比較的読み易かったとは言っても分かった様な分からないような・・・やはり煙に巻かれたような天沢ワールドだった。
その後で、オレンジ党の前日談を含む短編集「闇の中のオレンジ」も読んだがやはり特に何か分かった気もしない。
さらに天沢の作品は、登場人物が少しずつ重なっているがだから何か判明するわけでもない。
現時点の最新作は短編集「ねぎ坊主畑の妖精たちの物語」だが、分かりやすくなるどころか一段と暗く不可解さが増していた。
でももし新作が出たら・・・絶対買って読むだろう。あの「味」は絶対忘れないから。

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