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2007年1月27日 (土)

吉田とし という児童・青春小説家がいた。 その2

「サルピナ ゆれる砂漠」

紀元前77年。砂漠の商業国家「ローラン王国」を舞台に、奴隷の少女サルピナ、「目利き」の少年チモーラらの少年少女達と、王国の王妃ダリアが、大国から迫る脅威に直面する姿を描いた歴史ファンタジー。

今日に至るまで普遍的に存在する大国の軍事圧力。小国が如何にして戦火を交えずに生き延びるかに苦闘する少年少女達の視点で、国家とは何か、民とは何かを問いかける。

作者はあくまで、抵抗には流血も辞さないことを良しとするような結末はとらない。あくまで生き延びるためには国を明け渡し、少年少女達はいかなる境遇にも挫けずに生きることを誓う。

1964年の作品。今日、「楼蘭王国」として知られる(ポピュラーになったのはNHK「シルクロード」以降か?)謎の砂漠の小国が発掘されて話題となったばかりの時代に書かれた。

架空の国の少年少女達と亡国の王女の苦悩と戦い、近年のヤングアダルトファンタジイの先駆的な筋立てで、今読むと、その描写は派手な戦闘がないから地味ではあるが、緊迫感に満ちたストーリーテリング、エキゾチズム、オリエンタリズムは、今日の同趣向の作品群と比べても決して見劣りしない。
作者がその後、同傾向の作品に手を染めなかったのが惜しまれる程の出来映えだが、時代に早過ぎた、時代がまだ付いてこれなかったとしか言いようがない。

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