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2008年11月 3日 (月)

演劇感想:江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)-明智小五郎と人間豹-

2008/11/03。国立劇場、大劇場の初日を観にいった。

国立劇場は、私は初めて、配偶者は二度目。ロビーを回ると、「乱歩」ということで乱歩関連の資料を展示していたり、二階の土産売店には、乱歩が愛好した池袋の和菓子屋、三原堂が乱歩生誕百周年の時に作った「乱歩ブッセ」を売り出していたし、一階ロビーには、名張市観光協会が出展、PRで、「二銭銅貨」瓦煎餅や「乱歩パイ」なるものを売り出していた。
またプログラムには、立大の藤井淑禎(ひでただ)教授による解説が詳しいし楽しい。人間豹雑誌掲載時の挿絵も掲載(創元推理文庫版に収録されているアレね)。昨今の独創性重視の傾向への批判や、乱歩と歌舞伎の関係解説、人間豹当時の乱歩の郊外生活への憧れなんていう面白い考察もあった。通常の歌舞伎のお客さん向けにとどまらず乱歩ファンも満足させるものではないかなあ。
さらに加えるなら、劇中の歌舞伎解説イヤホンガイドが、乱歩の原作も詳細に解説していてさすが!。

さて、本篇、私という素人は、歌舞伎経験としては、市川猿之助一門の派手でケレン味たっぷりの、分かりやすいものしか知らなかった。それと比べると意外に尺が短くて地味な印象だった。配偶者も「意外に普通の歌舞伎だった」と言っていた。
しかし、ここで思い出した、以前、今回の松本幸四郎による、荒俣宏脚本のオリジナル歌舞伎「夢の仲蔵」を観たことを。
この時は、二人の歌舞伎役者の芸に対する相反する信念と生き様を対照して描いていた。歌舞伎としては意外に心理描写に主眼をおいた内省的な舞台だった。
今回も一見、おどろおどろしいケレンに満ちた善対悪の活劇かと期待させて、意外にも内省的な考察を試みた実験作だったのかもしれない。
色男の遊び人神谷と、異形で愛に飢えた恩田。神谷と恩田を市川染五郎の一人二役にすることで、二人は文字通り人間の光と影の一対となる。
さらに、恩田の父に変えて、異形の愛で狂気の存在感を魅せる百御前なる老婆を配し、恩田の出生の秘密をいかにオリジナル設定するのかと思いきや、これまた意外にも、乱歩の別の原作から、設定をもってきて再構成(この手があったか!)して、恩田の人間の闇の部分を代表する存在感に深みが加えられている。
他に、松本幸四郎演じる明智小五郎は、正義を貫く、時代劇の典型的な善玉となることで、恩田の悪玉振りを強調している。恩田が狙う女性達三人を、市川春猿が三役を演じ分けるのは、歌舞伎ならではの妙味。恩田の執着する理想像が一つであることにリアリティが出た。
舞台演出としても、白と黒を基調として、血の赤が彩りを添える、やはり人間の闇と孤独を象徴する印象だった。逆に菊人形の存在する場面(黄色を中心とした暖色)が人情もので、光と温もりを表していたような気がする。

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