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2008年12月21日 (日)

映画感想:K-20 怪人二十面相・伝

新宿バルド9にて、配偶者と観にいった。先ず、言いたい事は、乱歩ファンは注意しなければならない。これは乱歩マニアの映画ではない。二十面相LOVEの映画だ。
(以下ネタばれあり)

二十面相LOVEとは、この映画の「原作者」である北村想であり、あるいは先のパスティーシュ漫画「二十面相の娘」の作者であったり、この私だったりする(笑)。
二十面相LOVEは乱歩の原作に不満なのだ。あまりにも二十面相がみっともないから。明智ばっかりいいかっこし過ぎるから。世界は二十面相を中心にして回らなければいけないのだ(笑)。
だからこの映画を乱歩の原作のイメージで判断するのは間違いだ。北村想のパスティーシュを原作に据えたところがミソなのだ。
さて、映画は、北村の原作から、乱歩原作にない細部の緻密さ、レトロな人情劇、二十面相の代替わり、泥棒修行、いけすかない明智(笑)、逆に人間として魅力的な裏社会の住人達といったエッセンスで架空の歴史活劇を再構成している。
細かいところの不満はあるとしても、監督兼脚本の佐藤嗣麻子には拍手。
映画の始まりはわくわくしたねえ。思う存分暴れろ二十面相!という期待感十分。いきなり昨今の世相を風刺したような言葉が、字幕に入ったのは微妙だが(「○○社会」)。

とにかく、二十面相を暴れさすには、バカバカしく大げさでゴージャスでなきゃダメ。ゴージャスさがないとただのバカだ。いままでの「二十面相」はゴージャスさが(あるいは乱歩の原作さえも)足りなかった。その点今回は満足。ニコラ・ステラの秘密の大発明という設定は胡散臭さとスケール感はぴったりだった。北村原作の細部の緻密さと人情劇要素も特に文句なし。
オリジナルプロットで感心したのは、手の動きで葉子が二十面相の正体に気づいていたという点。監督兼脚本が女性ならではの演出だ。これはいかなる原作にもない要素だ。

逆に、明智に、裏の顔を持たせたのは、原作を知らない大多数の観客向けの意外性を狙ったのだろうがこれはどうだろう。
人間の二面性を演出するのは、昨今の娯楽作品ではかなりポピュラーだが、これを演じるには仲村トオルは表現の幅が足りない感じがした。その所為で平吉に、お前と同じ世界の出だ、というクライマックスにもうひとつ説得力を感じなかった。
逆にアジアの星、金城武は、裏表のない善良さが出ていて、粗野とタフさは、アジアの熱気と混沌を体現している。仲村演じる明智のヨーロッパ趣味の知的なクールさとの好対照で最後まで押してもよかったのではないか。
だから鹿賀丈史にもっと暴れさせてほしかった。個人的には配役を見た時に、二十面相はもうこの人しかいないと思い込んでいた。ラストのクライマックスも仲村のやってた部分を、鹿賀に全く同じことをさせ、仲間になれ、というところだけ、二代目になれ、とした方が説得力がでたのではないか。
松たか子のお嬢様の年齢的無理はご愛敬。
絶妙の配役は、小林少年の本郷奏多かもしれない。本当にこんな紅顔の美少年が存在したのね。今までの小林少年は、子役が演じるとただのくそガキになるし、美少年にするには女優を使うしかなかったからね。

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コメント

小笠原様
はじめまして...ですね。さくら@桜の牢と申します。最近は書込みしていませんが『乱歩の世界』から参りました。よろしくお願い致します。
わたくしも『K-20』試写会にて拝見しました。映画その物はとても楽しめました。しかし北村想原作を読んでいない事もあるのでしょうが、二十面相と明智のキャラがイメージと違いすぎてどうしても気に入らなくて不満の残る映画でした。小笠原さんの感想を読ませていただいて、あの映画は二十面相LOVEの方の目から観るとそうなるんだ~と感心しました。そうだったのですね「世界は二十面相を中心にして回っている」んですね(笑)鹿賀丈史はもっと暴れて欲しかった同感です!仲村トオルはやっぱり物足りないです...。わたくしも少し感想を書きました。よろしければURLよりご覧くださいね☆
ちなみにわたくしの別名は『乱歩の世界関東支部宴会部長』(笑)です機会がありましたら、是非乱歩の世界オフ会にご参加ください☆よろしければ記入しましたメルアドまでご一報くださいませ。では、またお邪魔させていただきます(^^)失礼いたしました。

投稿: さくら@桜の牢 | 2008年12月22日 (月) 21時55分

おはようございます小笠原様。乱歩の世界掲示板のURLから飛んで来ました。
掲示板では温かいお言葉をかけて頂き有難うございました。ちょっとサイトのアラシに凹んでいましたが、この映画で元気出そうです。
いつも小笠原様が“二十面相LOVE!”と書かれていたので、今回の試写会は私も“二十面相LOVE!”なテンションで観に行きました。
二十面相…恰好良かったです。特に本物のコスチュームが。鹿賀丈史…同感です。物足りませんでした。
金城武は“レッドクリフ”の撮影後直ぐにクランクインしたとかで、多少浮腫感はあるもののアクションのキレは抜群でしたね。
確かに乱歩の二十面相はうっかり八兵衛のようなマヌケさがあって、そうですね…ご指摘の様な感は否めませんね。
天知茂のシリーズの様にシリーズ化されるのを期待します。

さくらさん、いえ部長、また素敵なお店情報楽しみにしていますね♪

最後に私のサイトのURLを貼らせて頂きました。何分未熟者なので、これから少しずつ精進していこうと思います。もし良かったら、小笠原様のブログを私のサイトにリンクさせて頂けませんでしょうか。宜しくお願いします。

投稿: Marie | 2008年12月23日 (火) 05時04分

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