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2010年8月28日 (土)

なぜ「プロの仕事を批判的に検証する」ことを嫌悪するのか

~とタイトルをつけてみたが、理由を考えるのはやはり私の手に余る。ただ唐沢俊一氏の批判的検証を嫌悪する初心(うぶ)な人が意外に多いようだなあ、と思ったので自分の記憶を書いてみよう。

先ず、作家の検証本、それも対象作家をボロクソにけなしたことで思い出すのはインターネット時代以前、当時の流行作家田口ランディ検証本を神保町で見た。まるまる一冊、田口ランディの小説やエッセイの題材が既存の少女マンガなどからいかにパクッているかを攻撃的な(笑)姿勢で記述していた。田口ランディの現在や評価はどうなっているかは知らないが。そういえば最近ではNHKが「龍馬伝」や「坂の上の雲」やる事になったら、司馬遼太郎の所謂司馬史観を批判する検証ムック本が結構出たが、これが司馬の評価やNHKに影響したとは思えないなあ。あ、それで思い出した、松本清張批判的検証本も同氏生前から出たのをいくつか読んだことがあった。その一方で名もなき新人作家のデビュー作が盗作だったとか、常にどこかでニュース記事が現れては消えていったな。
こうして振り返ると、批判本から噴き出る(笑)書き手から対象者への辛辣さに食傷することもあったが、作家として残るか残らないかは結局当人の力量次第だったな。
こう言うと、それはメジャーな作家の話で、なんでマイナーな物書きをいちいち批判するか、とまた嫌悪する人もいるだろうが、当人に力量があれば盗作がメジャーへの道につながる例もあった。書きもの?以外の世界で、思い出すのは、極めて有名な陶芸家、すでに故人だが、この人が有名になったきっかけが贋作だったというエピソードも有名だった。遺跡から発掘された壺だとか何とかと称して世に出したのが実は若い陶芸家の作品だったと判明したら今度はその力量が認められ、以降大家としてのキャリアを積んで生涯を終えた。
遺跡といえば逆に、神の手と呼ばれた遺跡発掘者のF氏は、毎日新聞に徹底マークされ捏造が暴露され消えた。後で考古学研究者に聴いたら、「もともとF氏の業績には考古学界でも真贋の評価が二分され論争になっていた、しかも論争といってもF氏を信じる人々は疑う人々に対して感情的反発が目立っていた」だからこそ毎日新聞はF氏を半年もマークしていたのだ、という話だった。唐沢本検証を巡る状況を想起せずにはいられない。
漫画出版界で盗作騒ぎからのカムバックといったら末次由紀という最新例がある。未だにググればこのネタがトップに出てくる、稀代の絵師井上雄彦の絵をトレスしたことで一度干されたが、復帰後は、その所為で注目する読者も増えて(何しろ私がその一人だ)、評価と活躍はもはや言うまでもない。

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