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2011年4月 9日 (土)

本感想:木工少女(濱野京子)講談社(装画・ひらいみも、装丁・田中久子)

昨年から矢継ぎ早に新作を世に問い続ける作家が今回は懐かしい木の香りのする舞台でリアルドラマを展開している。書名から予想できる通り、林業の村で都会っ子のヒロインが木工制作の魅力に夢中になるのだが、「木」をきっかけとして、林業の村の現実と夢の狭間で揺れ動く、高校生やク ラスメートの事情や心情にも目を向けていくようになる。このプロセスがシンプルな作者の叙述で描かれていく。それらは木を通じての人と人の連鎖だ。
どこか冷めた視線の今時の小学生といった感じのヒロインを語り手にしたというのも、この作者としては新境地だが、村おこし事業として全寮制少数教育の単位制高校を始めた村という舞台が実に興味深い。ヒロインの父親はここの教師として赴任してきた、だからヒロインの交流する友達も同級生よりこの高校生達の場面が多い、というのが面白い。しかし物語のメインは、妻子と別居して、木工アートを制作する男性とその工房との交流なのだ。多感な時期の少女が始めて男性を意識したのかもしれない。
「木」との「対話」を通じて、他人にも心を開いていく、同時に他人の心に共感を覚えていく、それは久しく忘れていた、人間社会の成長の過程でもあったのではないか。この物語から例を抽出してみると、木に触れる=木工=手を使う訓練=けがで自分の体で危険を知り、安全対応を学び集中力を養う=木製品を再認識する=産業としての林業を意識し学び始めるetc.・・・。
あとは、脇役だが小学校の先生が妙に子供っぽいのが楽しい。作中の高校生や小学生が色々と進路に悩んでいるのと対照的だ。裏読みすると今時の気苦労の多い先生という立場への応援、癒しかもしれない。懐かしいのは小学校の演奏会、中でも木琴だ。自分もマリンバを叩くのに苦労したことがあった。

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