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2012年7月 8日 (日)

アニメ感想:グスコーブドリの伝記(杉井ギサブロー監督)

ワーナーマイカルシネマズ多摩センターで配偶者と観た。大胆な脚色。原作を読んだものなら必ず期待する、印象に残る場面を一切カットしたかのように。クーボー大博士の前での煙の講義、ネリとの再会、カルボナード火山島でのクライマックス等々。これらの共通点は何か。
原作は、宮沢賢治の童話の中でも科学的でリアル色が濃い。しかしその分だけ、今の視点で観ると納得し難い、古臭いともいえる。例えば、ネリがさらわれたのは、当時の身売りの風刺だが、それがああいう形でネリと再開するというのは、むしろファンタジーだ。最後に島にブドリ一人が残って、あるいは残して調整する、というのは、どう考えても無理がある、リアルに考えれば考える程、ああいうことは大人数で大掛かりでやることだから、やはりファンタジーだ。
原作に忠実なら、古典的にリアルな空想科学になるところを、現代的、いや杉井ギサブロー的な幻想と抽象に染め直したな、という感じ。私的に、そこに不満は全くない。原作に忠実な劇化作品なら過去にいくらでもあったから。しかし、四面体の結晶格子みたいなのを飛ばすのが好きだねえ。さらにテグス工場のエピソードまでブドリの幻視に収めたのは驚いた。
視覚的な見どころは、実際のイーハトーブの都市のノスタルジックフューチャーとブドリの悪夢の浪漫趣味の対照か。エンディングクレジットにハッキリと「浅草十二階」と明記されていたあの世界は、むしろ江戸川乱歩の「押絵と旅する男」のものだし、さらにその中には杉井ギサブロー版銀河鉄道の夜御一行様、コトリと裁判は、どんぐりと山猫か?
そして何より意外なクライマックス、コトリの再登場、これは非情な悪魔との取引にさえ見えるのだが、これをどう評価するかが、最後にして最大の賛否のポイントか?私はまだ結論が出ない。

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