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2012年10月 8日 (月)

アニメ映画感想:「マルドゥック・スクランブル 排気」

三部作の完結編。前の二作の感想はここここ。テアトル新宿で本日配偶者と観た。
少女の「再生」を描くSFが、あらゆる点で遂にここまできたという感激。予想以上にカジノのポーカー対決シーンが続いたが、解説的な描写は一切ぬきにした、テンポのいい、むしろ早い展開で飽きさせない。しかし、演出以上に、実力派声優の「対決」演技が芸術品並みに素晴らしい。カードゲームをしながらディーラーのアシュレイとバロット、そして前作で敗れたルーレットのベル・ウィングが人生を問う、と書くと賭博劇画みたいなトチ狂った設定なのだが、愛し、愛されなかった人々の哀しみと勝負による再生がシナリオだけではない、繰り返すが名声優の演技が、ポーカー勝負を通じて敗者も勝者も人生の重さと希望を再生するという、感動に本気で涙した。
そしてミステリーとサスペンスの醍醐味は、この勝負の動機、100万ドルゴールドチップに仕掛けられたトリック。どんなセキュリティシステムよりもある意味で一番安全と狂気が表裏一体となっている。まさしくコインの裏と表だ。
シェルの罪と罰を、シェルの頭の中から記憶として分離し、コインの中に込め、結果として失敗した、この象徴性の高さは私の才覚では記述し切れない。
そして、バロットの再生は、「圧縮」では肉体に始まり、しかし精神は愛を乞いつつも殺戮と復讐の悦楽に酔いしれ、「燃焼」では、賭博勝負を通じて、人生のリターンマッチに向き合い、この「排気」では、シェルへの復讐を乗り超えた哀れみを知り、許しはしないが罪と罰をシェルの心の中に返してやったことでチャラにし、シェルを追いこんだ元凶に立ち向かい憎悪と殺意の刹那的な衝動を克服し、ウフコックを巡るボイルドとの三角関係には、文字通りのアクション対決=この時の文字通り卵型の防御膜の中にうずくまり、その「殻」を内から破って飛び出し、ボイルドに攻勢を仕掛けるビジュアルシーンが実に明快に「再生」を象徴していて素晴らしい。
愛を乞い、愛されようとして敗れた人々の内、再生できたのは、ただ愛そうとする強さをもったものだけ。勝敗は、善悪ではなく、そこで決まった。
主題歌については、過去2作の故・本田美奈子のカバー「アメイジング・グレイス」を林原めぐみをデュエットさせた上で挿入歌に回しつつ、本田美奈子の歌「つばさ」を林原=バロットにソロでカバーさせることで、バロットが本田美奈子から祝福と卒業を果たした、上手い!

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