« アニメ感想:ノイタミナ「PSYCHO-PASS サイコパス」「ROBOTICS;NOTES ロボティクス・ノーツ」8話 | トップページ | 韓国純情漫画感想:最近読んだ原書あれこれ(20121207) »

2012年12月 2日 (日)

[2014年夏の追記あり]本感想:くりぃむパン(濱野京子 作、黒須高嶺 絵)くもん出版 

[20130623追記]第59回青少年読書感想文全国コンクール課題図書
今どき珍しい、ひいおばあちゃんを筆頭にした五世代同居の大家族で、もとは下宿屋で、今も下宿人が2人いる。そこに失業して職を転々としている親戚が娘を連れて現れる、しばらく娘の未果を預かってもらいたい、と。未果は、この家の娘、語り手の香里と同い年の小学四年生。
父親と離れて一人ぼっち、人当たりが良くて美人だが、小銭を集めたがる未果。その境遇を考えれば周りの大人達が気を使ってかばうのは当然だが、まだ子供の香里には、それが不公平に感じられて疎ましい。そんな二人の心つなぐのは、若竹町商店街の老舗パン屋「つるかめ堂」のくりぃむパン・・・。
まさに、どこかでかつて見たような物語の世界だが、振り返ってみれば、今の世の中が複雑になり過ぎて根本を見失い、浮足だっているようではないか。本書を読むと、あらためて、こんな単純な感情を忘れていたことに気がついて、目が覚めるようだったり、一服の清涼剤のように心が晴れるかのようだ。
それでいて、各登場人物の設定に、きっちりと現代を織り込んでいる。兄夫婦の設定、未果の父親の仕事、下宿人の職業、高齢の老人等々。
そしてこれらのキャラクターを、簡潔な本文から、ここまで雰囲気ピッタリに描写した、装画の黒須高嶺の技量には舌を巻く。紹介文によると児童書の挿絵はこれまでキャリアを積んでこられた方らしいが、児童書単行本の装画は初めて、とあるのが信じられない程だ。
蛇足、私は今でも、チョココロネの菓子パンが大好きです。
[20140825追記]
今年も夏休みシーズンに入ったら、私のこの拙文にもまたアクセスが増えた。昨年の夏休み課題図書は、それっきりで終わらず、今年になってもまだ読まれているようだ。そこで調べているうちにくだらない意見を見つけてしまった。「くりぃむパン」という表記は小学生の国語の外来語表記指導の観点からはおかしいので、これを課題図書とするのはいかがなものか、というのだ。
だが、そのおかげで?この本の価値がやっとわかった気がした。
「クリームパン」には大人の教育的配慮がつまっている。
「くりぃむパン」には子供の心をつなぐものがつまっているのだ。

|

« アニメ感想:ノイタミナ「PSYCHO-PASS サイコパス」「ROBOTICS;NOTES ロボティクス・ノーツ」8話 | トップページ | 韓国純情漫画感想:最近読んだ原書あれこれ(20121207) »

濱野京子」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [2014年夏の追記あり]本感想:くりぃむパン(濱野京子 作、黒須高嶺 絵)くもん出版 :

« アニメ感想:ノイタミナ「PSYCHO-PASS サイコパス」「ROBOTICS;NOTES ロボティクス・ノーツ」8話 | トップページ | 韓国純情漫画感想:最近読んだ原書あれこれ(20121207) »