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2016年6月

2016年6月26日 (日)

シネマ歌舞伎「阿弖流為(アテルイ)」感想=現代日本政治への警告

新宿ピカデリーに、配偶者と観に行った。一口で言えば面白かった。歌舞伎役者と歌舞伎演出というのは元々大好きだ。もうかなり長く若い人に大人気を博し続けている劇団☆新感線の制作した芝居をシネマ歌舞伎化して再演したものらしい。
中島かずきの巧みな脚本で、娯楽性満点だが、同時に間違いなく、古代日本史を舞台とした時代劇には定石だが、現代日本の政治を意識したものだ。※以下ネタバレを含む
大和(ヤマト)朝廷による万世一系という「帝(ミカド)」が幻に過ぎない=「神話化」を明らかにすることに突き進む大きなストーリーの締めに向かって、
阿弖流為=東北=大和にまつろわぬ存在=大和の敵=鬼とみなされる存在と、
相対する坂上田村麻呂=征夷大将軍=征服者の先兵=大和の正義=蝦夷という少数民族の敵とみなされる存在が、いずれもヤマトの神話化の犠牲となるプロセスで、苦悩しながらも大局を観て和睦し、大和に服従した少数民族は鬼としての存在を甘受しつつも、それ故に後世に影響をもたらし続ける存在となる。
結論=多数派の大和の治政下に少数民族の文化と魂が「鬼」として内在する体制=それが「日本であることを忘れるな」
それがいま公開される意義は、今の大衆政治はその「事実」を忘れ「神話」を「現実」とみなす=少数民族の存在を鬼どころか、過去の遺物として「否定」し「少数民族の伝統的文化的存在を騙る罪人」扱いしつつあることへの警鐘と猛省を促している。

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2016年6月19日 (日)

韓国の漫画 韓国純情漫画(순정만화)感想:最近読んだ原書あれこれ(20160619その2)

Sinjyosei2「신여성(新女性)」2巻。변양아(ピョン・ヤンア)作。ソウル文化社。WEBマガジン「WINK」誌で、新人作家の初連載作。1巻の記事はこちら。2巻単行本の帯の宣伝コピーを拙訳してみると
「激動の1928年、同年代の少女達の[左衝右突]成長期!」
この「左衝右突」何事にもなりふり構わず、体当たりでぶつかっていく意味で、訳すときは「体当たり」でもよさそうだし、七転八倒、右往左往などもあてはまりそうだ。
日帝支配下の京城(※日本植民地下のソウル)の女学校に入学し寄宿舎生活に入った名家の泣き虫のお嬢、민덕요(ミン・ドギョ)と、その身の回りの世話をする侍女、최영랑(チェ・ヨンラン)の奮戦記。
漫画のテクニックより次々と登場する風俗の描写の興味深さで現代韓国人は言うに及ばず、日本人には尚更興味深い内容だ。
2巻で登場する描写の例では、
痛い場面としては、国語(と称して日本語)の先生がヨンランに反省室で鞭で背中を打つ体罰を平然と行う(制服の上からだけど入浴中に背中に傷が残っているのがわかる)。
他に、入浴の時間。部屋毎に配布されるトッポギを焼いて食べる。外人女性教師による初めての体操の授業と体操服に戸惑う。上級生がしているテニスを初めて見る。教会礼拝で近隣の男子校の生徒達も一堂に会して牧師(プロテスタント系)だか神父(カトリック)の説教を受ける(どっちなのかは未確認)。夜、窓の外、屋根の上で、喫煙しながら怪しい雰囲気(昔の日本の女学校で言ったらS(エス)というやつだろう)を漂わす女子生徒二人。
また、次々と登場する女子生徒達のカットと名前の漢字表記のページが1巻から挿入され続けている。昔のかなり難しい漢字なので、これも、ハングル表記中心の現代韓国人だけでなく、日本人にも興味深いだろう。

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韓国の漫画 韓国純情漫画(순정만화)感想:最近読んだ原書あれこれ(20160619)

Ferua7「펠루아 이야기 a Tale of Felluah (フェルア物語)」7巻。김연주(キム・ヨンジュ)。鶴山文化社。6巻の記事はこちら
前巻で出てきたノックスとは、フェルアの近衛騎士団の紅一点、ジュルスの双子の兄妹(か姉弟か正確には不明)、つまり彼もフェルアの騎士だった。それがどこで何をしていたのかは説明がないが、帰国した。
ここで、アシアスとオルテーズがテサに滞在時の回想シーとなるのだが、街の書店で、貴族の婦人達の間で大人気のロマンス小説の、初版本購入を巡り、なぜかノックスがこれを先に取り、オルテーズがテサ領に滞在中、ノックスのいるところに何度もおしかけて彼に譲ってくれと求めても応じない、というやり取りがあったことが描写される。その時はノックスが何者かオルテーズは全然知らなかったらしい。※結局、本を譲ってもらえたのか、まだ描かれていないのがこの漫画の不思議な面白さだ。
※舞台を今のフェルアに戻して、改めて近衛騎士としてオルテーズに挨拶するノックスに対してオルテーズの心中も描写されない。
※サブエピソード?としては、フェルアを発つ前に領主様から贈られた名馬をフェルア城下入りする前に売り飛ばしたらしく、これを騎士団から睨まれた。そういえば乞食のような身なりでライスル侯爵夫人(イグレイン)の前に現れた6巻では、飯をたかっていたのだった。
※さらにノックスの回想シーンでは、かつてイグレインとアシアスの仲が蜜月だった時のノックスのセリフを拙訳してみる
『二人が秘密結婚をせねばならぬなら、証人になってやろう。ファビナの騎士、ノックス・アスリルドの名に懸けて、あなた達はもっとも見目の良いつがいとなる』
次のエピソードは、王妃ノマ様の妊娠祝賀パーティに、アシアスとオルテーズと近衛騎士団ら総出での国王の城への参内。まだ子作りもしていないオルテーズとしては、内心気が進まない。ここでまた、一同ライスル侯爵夫人と再会して、気まずい雰囲気が漂う。
※王宮のパーティの夜。ノックスとイグレインの対話が描かれる。イグレインが、アシアスを捨てたのは先代フェルア領主が二人の結婚は認めても、子供の相続権は認めない、と言われたからだという。だがノックスは同情しない、領主=老人のいうことなんか、しばらく待てばよかった、とクールな応答。それでも国王が認めなければ・・・と苦渋の選択を訴えるが、ノックスはだったらもう未練を捨てろ、と取り合わない。
7巻の締めの場面は、パーティから明けて、これから皆で狩りに行こうという朝、アシアスの頬に後ろからオルテーズが不意打ちキスをしようとしたら、咄嗟に振り返ったアシアスと口づけとなる。衆目の一致する場で。一旦退こうとしたオルテーズだが、アシアスが彼女を抱き締めて、さらにぐっと熱いキスを。

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2016年6月14日 (火)

韓国の漫画 韓国純情漫画(순정만화)感想:最近読んだ原書あれこれ(20160614)

Concours6「더 콩쿠르 the concours (ザ・コンクール)」6巻。정설화(チョン・ソルファ)作。ソウル文化社。
5巻の記事はこちら
フ ランス仕込みの新鋭の韓国青春漫画の第6巻。韓国で行われる国際的なバイオリンコンクール1ヶ月合宿制による本選、第四回実技試験、ピアノ伴奏つきの3回目。
外はかなり雪が積もった。8人に絞り込まれた参加者達の、コンクールを控えての人間模様も濃くなり始めた。それに加えて会場にやってきた謎の中年女性。以前から出てきている音楽誌記者が何か気づいたようだから今後の伏線だろう。バイオリン工房の女弟子、이향이(イ・ヒャンギ)もイタリア修行への迷いも描かれる。主人公の高校生안호경(アン・ホギョン)のピアノ伴奏者、以前から楽譜原理主義とでもいうべきオレ様青年박은석(パク・ウンソク)は、遂に宗旨替えw。ホギョンに、お前自身の解釈で演奏しろ、俺がそれに合わせてやる、と宣言。それだけホギョンの天才というより天然系な演奏に魅せられたということらしい。準備万端で試験に臨めるはずだったのに、当日朝、バイオリンのサウンドポストが折れたか外れたらしい。雪の所為で湿度が急激に変化したのが原因だという。しかも、バイオリン修理の師匠は、その雪で転倒して病院に緊急搬送。限られた時間でヒャンギが独りで修理に挑む。切迫感みなぎる描写でギリギリで試験に駆け込んだホギョンの演奏は、最初のうちは調子よくいったが、途中から思うような音が出なくなった。ホギョンは、バイオリンの持ち方を工夫してしのごうとするが、結果は明らかだった・・・。
※試験結果ははっきり明示されないまま、ラストのページは、小さなトンネルの中で一人バイオリンの稽古をするホギョンの後ろ姿。彼の詳細だけでなく、コンクールの参加者達もようやくキャラが立ち始めたのでこれで出番終わりとは思えない。まだまだ今後のコンクールの展開に期待したい。

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2016年6月12日 (日)

韓国の漫画 韓国純情漫画(순정만화)感想:最近読んだ原書あれこれ(20160612その2)

Dousenaratahon7「이왕이면  다홍(どうせならタホン)」7巻。이상은(イ・サングン)作。鶴山文化社。6巻の記事はこちら
前巻で登場した、家の孫達の一人우진(ウジン、この家の長男(=ミソンさんの夫)と離婚した前妻の間の子、職業モデル)に幼い頃からぞっこんだった주리(=チュリ)、予想通りめちゃくちゃな家事センスで男共を翻弄する。ダメ押しは、祖父の大事な族譜(チョッポといい、家の由来、家系図)を不要な廃紙と思って回収に出してしまった。これまた予想通り廃止回収所に行って探すことになる。
写真館に来たタホンは、ここの社長(※他に店員はいない)がタホンのバッグから大事な金をクスねて店の賃貸料払いに充ててしまい、しかしタホンは警察に行っても金は戻らないから、共同経営者だという口約束をして社長の尻を叩き、タホン自ら営業活動に打って出る。
早速、社長が嫌がる子供の音楽教室の発表会の記念撮影の仕事を受けると、言うことを聞かないやんちゃな子供達を巧みに懐柔し、ここにようやくタホンを心配して探しに来たウジンも合流し、彼の本業モデルの写真映りの特技も手伝って子供達の悩みまで解決して撮影成功。。社長とひと悶着あるが、(※今後もこの写真館に通って自分の金を稼ぐのかはまだ分からない)一先ず、家に帰る、チュリが探し中の族譜も、タホンがあっという間に馴染みの回収業者から取り戻す。
祖父はウジンが説得し、チュリから始まったドタバタ騒動は一日で解決。
タホンの手際と気性にすっかり負けを認めたチュリも反省。タホンと友達になる。代わりにタホン自身のウジンに対する気持ちを恋というのだ、と教える。※これからようやく他人ではなくタホン自身の問題解決の展開となるか?

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韓国の漫画 韓国純情漫画(순정만화)感想:最近読んだ原書あれこれ(20160612)

Yoruwokakerusonbi14「밤을 걷는 선비」(夜を駆けるソンビ)」14巻(ソウル文化社)。原作조주희(チョ・ジュイ)。作画担当は한승희(ハン・スンヒ)。13巻の記事はこちら
一般的邦題「夜を歩く士(ソンビ)」私的訳では「夜を駆けるソンビ」で通す(笑)。繰り返すがゾンビではない。日本では士大夫ともいう、在野の地主で教養人、人格者でもある名士とか名家の旦那をさす。
今度は、謎の絵師が男装のヒロイン、양성(ヤンソン)を襲う、お前が김 성열(キム・ソンヨル)をおびき出すカギだ、と。しかしヤンソンがここで逆襲、彼が咥えて離さない煙管を、お前の秘密だ、と奪いとる。煙管の秘薬が切れた絵師は正体を現す、バンパイア、귀=キィ(漢字語で「鬼」の朝鮮語発音、日本の音読みキと同じようなもの)の一人二役だったのだ。
※キィの回想によればこの秘薬も朝鮮初代国王、李成桂に与えられたようだ、この秘薬で陽の下でも生きられ、人間の絵師をどうにかして?その姿に変身可能になったらしい。
一方、バンパイアとなった妓女、수향(スウヒャン)は、兵士達に囲まれ一斉に矢を射かけられ遂に、ソンヨルに看取られながら朝日を浴びて、壮絶で、悲痛な死を迎える。
思悼世子(사도세자、サドセジャ)の王子(おそらく後の国王、正祖)はヤンソンを清国へ向かう一行に加えるように計らうが、ヤンソンは、今一度、ソンヨルの屋敷に戻り彼を待つことにする。
ヤンソンを見守るようにソンヨルは現れる。
※ここでソンヨルが何か巨大な黒い獣を従えているのだ。彼の秘蔵の魔犬か?キィに対する番犬か?

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2016年6月 4日 (土)

韓国の漫画 韓国純情漫画(순정만화)感想:最近読んだ原書あれこれ(20160604)

Simuchon3「심청(「沈清」=シムチョン)」第3巻。イ・ソヨン(이소영)作。タイトルは、韓国では誰でも知ってる儒教道徳説話「沈清伝」の主人公の名前。親孝行娘の代名詞。内容は日本語でも直ぐ調べられる。2巻の記事はこちら
降雨の呪い札の呪いを解き、かつ逆呪術を防ぐ為に知恵を絞るシムチョンと財閥の家の次男、イアンの二人。遂に呪符を香炉で燃やすと、この香炉に封じ込められていた竜神が姿を現し、村人を恫喝するとそのまま天昇し雨は止んだ。私の拙い語学力では詳細はよくわからないが、誰かがこの竜神を封じ込めようとしていたらしい、さらに二人の前にここにいた謎の男はこの竜神の化身だった。
謎といえば二人をここに導いた謎の老婆が竜宮の王と遠話(あるいはテレパシーか)をしていた。竜宮の王は、本来シムチョンを速やかに朝鮮国王の元に送って国王に助けさせるというより孤独な国王の手助けをさせる意図だったのに、この老婆(竜宮の王は彼女をソアと呼んでいる)は、シムチョンにその価値、運、があるか試練を与えると宣言している。
さて、最初の試練?を乗り切った二人の前に、この村の降雨の怪異を調査しに来た朝鮮王朝の隠密らしき人物が現れた。従者は彼を「殿下」と呼んでいるから高貴な人物のようだ。これがまた先に出てきてシムチョンに一目ぼれした財閥の長男に瓜二つ。
そこにさらに怪異が起きる。割れた香炉から人の怨念らしきものが飛び出し、イアンの中に飛び込んだ、目覚めたイアンは、女の声で「家に返して」と叫びだす。この事態に「殿下」は冷静に対処し、その取りついた女?のいう通りの屋敷にシムチョンとともに連れていく、一先ず、病人を抱えているということで屋敷の主に宿を請い、家内に入り、さらに、この怪異のことや家の娘の事情などを矢継ぎ早に聴き込んでいく。この家の娘は姉妹で、その一人ソヒョンが雨と同時に眠り続け未だに目覚めていない。さらに家の下男、下女達の噂話では、もう一人の娘トンヒョンもなんか様子がおかしいようだ。
シムチョンと「殿下」はこの眠る娘ソヒョンを検分し、シムチョンは占い師の呪法として、自分の髪の毛を彼女の肌身に一度貼り付け、これを燃やす、すると、イアンの中に入り込んだ娘の魂が飛び出し導かれるようにソヒョンの体に戻っていき、彼女は目覚めた。
イアンも本来の彼に戻ったが、トンヒョンの様子が明らかにシムチョンらに敵意むき出し。
どうやらさらにややこしいことに、トンヒョンの中にある魂はソヒョンで、彼女がトンヒョンの魂を自分(ソヒョン)の体に封じ込めたようなのだ。
※孝行娘の父親探しの試練の旅を通じて、怪異との遭遇、そしてイアンとシムチョンと殿下の三角関係めいた雰囲気、読者の笑いを取る役wはイアン。という展開に固まってきたようだ。

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