« 2016年6月 | トップページ | 2016年8月 »

2016年7月

2016年7月31日 (日)

映画感想:シン・ゴジラ

シネマ府中TOHOで今朝10時から配偶者と観てきた。最初から鳴り物入りで上映回数も上映館数も多い所為で意外にどこでも席は取りやすそうだった。
感想は二言、でいうと庵野秀明は完全主義の天才肌であるということ、庵野はやはり嫌味な奴だ、ということだ。
二時間を飽きさせないのはいうまでもなく、かつて観たことない程タイトなゴジラパニック演出。あまりいい言い方ではないが、かつての福知山線脱線事故から福島原発事故まで、あらゆる災害事象は映画のリアリティの土台になっているのだろう。
その一方でワイシャツはセリフで言うほど臭いそうに見えない。
象徴的なのは議事堂前のデモを空から俯瞰する構図で挿入する一方でゴジラ対策のプロジェクトチームは全員寝込んでいる。後にも先にも、あの対策チームが寝ている場面はあそこだけだった。他では不眠不休。明らかに集団的自衛権に抗議する議事堂前デモをモデルにし、国民が黙っているときは官僚は睡眠を削って仕事、国民が熱くなっているときは官僚はお構いなしの一休み時、という皮肉のつもりらしいが、実に嫌味だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年7月30日 (土)

韓国の漫画 韓国純情漫画(순정만화)感想:最近読んだ原書あれこれ(20160730その2)

Anatadakenoaris7「당신만의 앨리스(あなただけのアリス)」7巻。ソウル文化社。허윤미(ホ・ユンミ)作。6巻の記事はこちら
王様とアリスは(側室ソギョンとして)遂に結ばれる、が読者には既に書庫で、泥酔した王様に宮女としてアリスはやられちゃってることが分ってるんだよね(笑)。
という幕間劇的なエピソードはさっさと終えて次は、海岸に現れた難波した外国船を巡り、王様自ら調査に向かい、これに通訳としてアリスも同行し、この外国船と乗組員は麻薬の密貿易船であることを見破り、これを一網打尽にして、連中を密かに追っていたイギリス海軍に引き渡す、という大活躍でめでたし、となる一篇。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

韓国の漫画 韓国純情漫画(순정만화)感想:最近読んだ原書あれこれ(20160730)

Harukun3「하루꾼」3巻。鶴山文化社。보민(ポミン)作。純情漫画誌「PARTY(パーティ)」連載中。2巻の記事はこちら

人間の不幸の時間を食べる存在「ハルックン イヴ」とさらにその不幸から増殖した?ハルックン達を狂言廻しとした、人々の様々な不幸を描く連作。※この「ハルックン」をどう訳すべきか未だに私にはわからない。
但し結果として人々が不幸に終わる痛い話ではなくて、不幸な時間を乗り越えた人達が希望を見出す。今回収録エピソードは、ピアノ演奏を巡る兄弟の愛憎。横断歩道を舞台にした少女の出会いの一幕。映像作家を目指す女性を中心として、同棲中のミュージシャンを目指す男性との日々と別れ、習作として撮り続ける老若男女へのインタビュー映像を通しての交流。この表紙のロッカーみたいなのwもハルックンだし、他に黒い帽子を被った少女のハルックンが登場する。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年7月22日 (金)

本感想:最新?在日朝鮮韓国人文学3連荘w #ジニのパズル #もぐらとキムチ #緑と赤

順序は逆になったけれど、まずは最新155回芥川賞候補作だった崔実(チェ・シル)「ジニのパズル」1990年代、騒ぎとなった北朝鮮ミサイル「テポドン」発射前後数年間を時代背景とした、在日朝鮮人少女の、まさに使い古された言い方だが、疾風怒濤、世界の全てが敵となる年頃、日常を侵食してきた政治に対する怒り、哀しみ、復讐、反抗、クーデター、アイデンティティの彷徨を凄絶に、息継ぐ暇もない程に一気に語る。その強烈なインパクトは抜群。物語の核としての、少女のパフォーマンスは不遜、無作法、無神経な表現になって申し訳ないが、私には痛快にすら思えた。
次に、木下繁「もぐらとキムチ」
昭和48年、在日朝鮮人の小六の少年と中学生のその姉を中心に、大阪と北海道を舞台に、1967年生の著者が、在日差別を全篇、ドタバタ、ユーモアで覆いながら、エンタテインメントに昇華させた快作。1965年生の私と共通の時代的文化的背景が郷愁と痛恨を誘う。
そして、最後になったが、多分、昨年の話題の本命、深沢潮「緑と赤」。
ここ数年の韓流、嫌韓という最新の時代の断面を背景に、日、韓、在日の老若男女のアイデンティティーの苦悩をオムニバス・ストーリーで、クールにドライにリアルに描いているが、私にはむしろ期待より印象が薄かった。
個々のエピソードは、確かにそこかしこで私も聴いた現実的に胸や頭が痛くなる話なのだが、まさにその「聴いたような話」ばかりなのだ。私の如きものでも、まがりなりにも、まさにこの手の話に、ざっと三十年、首を突っ込んできたのだ。つまり、この小説中の主な登場人物の誰よりもこの手の「話」と長い付き合いだ。
それでもあらためてそんな自分を振り返ってみると、政治や運動としての朝鮮、韓国関連社会的活動をメインとしないで十年前から韓国の純情漫画読書、収集活動をするようになっておいてよかった。やはり社会活動だけでは、生活が欠落していただろう。既に日本、韓国とも政治が劣化しているのは客観的に見ても明らか、経済・ビジネスが成長し面白くなり、心理・アイデンティティの探求が興味深くなっている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年7月18日 (月)

本感想:「すべては平和のために」濱野京子・作。白井裕子・絵

日本児童文学者協会創立70周年記念出版「文学のピースウォーク」叢書。新日本出版社。作家「濱野京子」の為のお膳立てはそろったという感じだ。
昨今のニューストピックを振り返れば「戦争請負企業が跋扈するなら国家紛争調停企業が台頭するのは時間の問題」一方で「一人の少女の言動が世界を動かす」のも夢物語ではなくなった。それならば・・・と思考が展開していくのは当然かもしれない。さらに前世紀の眉村卓の作品群を彷彿とさせるのも、私の見当違いではないとも思う。
いつも書くことだが、私にとって濱野京子の小説は共感の世界。文学的な修辞、隠喩、手管、隠し玉、裏技の類はない、素手で真っ向から対峙する世界だ。今回はその意味でも書名からして、これまでの濱野京子の総決算ではないか、という期待で臨んだ。
物語進行の新機軸として序盤から一節毎に、ドキュメンタリーやノンフィクション的な畳み込むような記述の連続。これは、どこの国のどのトピックがモデルというものではない、世界の諸国の諸事情から抽出されてどこにでも、どの事情にも当てはまる。それが一気に架空の小国の小さな街に収斂されていく。
物語はまだ選挙権もない17歳の少女、平井和菜に課せられた地域紛争調停、期間はわずか丸二日。作中でもむだな描写をしている暇はない。彼女は限られた時間で真実を見極めなければならない。
紛争という名の欺瞞に満ちた戦争当事国の当事地である街の限られた当事者達が、和菜に、真実の断片を凝縮された情報として提供する、現地到着から4日目に和菜は人々の期待に応えることができるか。一方で各々の「思惑」を越えること=出し抜くことができるのか。
読了後、私は、和菜は期待に応えた、思惑を出し抜いた、と評価する。それは、フィクションではなく十分にリアリティのある結論だと思う。これは未来の物語ではあるが、上記したように重ねて昨今の世界のニュースを見ていれば、信じられる。
グローバリズムとインターネットが、理想なら世界を身近にする筈なのに、現行では「類は友を呼ぶ」止まり。
限定した興味のサークルだけになったネット社会に押しつぶされてしまいかねない「生身」の個人とその事情を忘れてはならないと警鐘をならす一冊だ。
※蛇足だが、制約された要件の中で効率的な進行のために通訳兼案内役として日本出身のフォトジャーナリスト住井美香なる人物が登場する。さらにこの本書巻末の解説者にちなんで以下私個人の読書体験。
私が「DAYS JAPAN」誌から学んだことは「日本人は慰安婦問題を韓国、中国だけを相手にすればいいと甘いことを考えていたら世界から次々としっぺ返しを受ける、世界を敵に回しかねないぞ」ということだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年6月 | トップページ | 2016年8月 »