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2016年12月

2016年12月19日 (月)

本感想:「バンドガール!」 #濱野京子 作、#志村貴子 絵 偕成社

前半は、極めてシンプルな少女目線での「バンド始めました」物語だが、バンドという音楽活動を通じて少女の五感が刺激されると認識が広がり、この社会の背景が見えてくる後半、一気に物語は活性化する。
すると、やはり濱野京子の世界だ、オーソドックスな風刺SFの手法にして、端正な筆さばきは鋭い切っ先となる。
※あまりネットの他の書評に言及したくはないが、「政治」が入るのを嫌がる感想がいちいち湧き出る人は、今の世の中「普通って何だ?」と自問してみることだ、そんなものがどこにある、むしろ例外・異常だらけだ。
さて、話を戻して、
バンド活動も、音楽は二人以上いれば様々な対立事項が現れる、少女達のアイデンティティの目覚めも育ち始める。さらに少女のバンド活動を通じて見えてきた社会背景は、大災害、大事故を通じ、日本の生活環境は汚染され、生活区域は狭くなり、首都は移転、生活水準は低下、ハイテクだけが残り、少子化は進み、学校内の課外クラブ活動は成り立たなくなり、地区の児童館がクラブ活動の中心拠点となった社会。社会不安が人々の心から余裕を奪い、音楽活動も「歌」に対するマスからソーシャル、パーソナルまでメディアによる自粛圧力や、表現抑圧の息苦しさ。
こうした諸事情が少女のささやかなバンド活動に無縁ではないことを知ると同時に、少女はささやかな抵抗と現状打破を試みる。まさにロックの精神ではないか(笑)。
※私自身は、日本の学校内の課外クラブ活動は行き詰っている、欧米式の地域自治体によるクラブ制に転換すべきではないかと思っている。うがち過ぎかもしれ合いが濱野京子もそう思っているのではないか。

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2016年12月17日 (土)

#韓国の漫画 韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20161217その3)

Liberte6「Liberté 리베르떼 (リベルテ)」6巻。完結。大元CI社。前巻の記事はこちら。原作が전혜진(チョン・ヘジン)。漫画は김락현(キム・ランヒョン)。純情漫画(少女マンガ)には珍しい本格派未来SFアクション。
※ストーリーは、破綻なく完璧に完結した、という感じ。
マカロフの養子、ジュナ・マカロフは精神的にも暴走し、テラトーンに変身してしまう。
マックは自らの能力者としての力で、実父である総統を殺害しようとするが、マカロフがこれをかばって死ぬ。
それでも悔いない総統は、特殊警察のマックの相棒ジョシュアによってとどめを刺される。
政府軍は、リベルテの人々と特殊警察と公安部と改造テラトーン達の連合軍に制圧されクーデターは成功する。
マックと、残された命がいつまであるかわからないジミーは、リベルテに戻り、仲間達と穏やかな日々を過ごす。
※。作者後記によると原作担当のチョン・ヘジンは、この連載中に、妊娠、出産も経たそうだ。まさにお疲れさまでした。そして
새해 복 많이 받으세요.(新年にご多幸を)

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#韓国の漫画 韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20161217その2)

Yoruwokakerusonbi16「밤을 걷는 선비」(夜を駆けるソンビ)」16巻(ソウル文化社)。原作조주희(チョ・ジュイ)。作画担当は한승희(ハン・スンヒ)。15巻の記事はこちら
一般的邦題「夜を歩く士(ソンビ)」だが、くどいが私のこだわりで「夜を駆けるソンビ」で通す。繰り返すがゾンビではない。日本では士大夫ともいう、在野の地主で教養人、人格者でもある名士とか名家の旦那をさす。
今回は15巻から引き続きバンパイア、귀=キィ(漢字語で「鬼」の朝鮮語発音、日本の音読み「キ」と同じようなもの)と思悼世子(사도세자、サドセジャ)との日々の回想に終始。
キィに思悼世子暗殺を命じる朝鮮王朝国王、英祖。打ちひしがれながらもすでに覚悟を決め、自分を殺せと促す思悼世子。これまでの思悼世子との友情と愛情の深さに苦悩するキィ。
キィは思悼世子に食らいつくもとどめを刺せない。
その結果として、思悼世子は、ヴァンパイアとなってしまう。英祖は、宮中で思悼世子とその従僕達、キィの全員抹殺を一気に開始する。
※ストーリーよりも妖艶な愛と葛藤、凄絶、凄惨な殺戮シーンが展開する。しかし相手はヴァンパイア故に、夜明けを待つ持久戦でもある。無理にとどめを刺すのではなく、宮中に抑え込んで朝日が差せば皆、灰燼に帰す筈。さあ朝が来た、結果は?

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#韓国の漫画 韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20161217)

Harukun4「하루꾼」4巻。鶴山文化社。보민(ポミン)作。純情漫画誌「PARTY(パーティ)」連載中。3巻の記事はこちら。 人間の不幸の時間を食べる存在「ハルックン イヴ」とさらにその不幸から増殖した?ハルックン達を狂言廻しとした、人々の様々な不幸を描く連作。※相変わらず私はこの「ハルックン」をどう訳すべきか未だわからない。
今回収録エピソードは、二人の少年が過ごした島の海岸を舞台にした友情と挫折の回想。長女、次女、末の弟の三姉弟の優しい日々。他界した父親の残したレコードコレクションを巡る息子と母親の日々。ざくろの木の精と小坊主の不思議な出会い。
※エピソードが必ずしも不幸ではなくなった。つかみどころがない、曖昧な日々の喜怒哀楽でインパクトの少ない、ふわーっしたイメージに変化してきた。

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2016年12月10日 (土)

#韓国の漫画 韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20161210)

Nabi21「Nabi」21巻。김연주(キム・ヨンジュ)。大元CI。
20巻の記事はこちら。하림(霞林=はりむ)の回想が入る。손소류(ソン・ソリュウ)に助けられた恩があるという内容だが、やはり以前のハリムの回想場面とは微妙に違うようだ。そして詳細は描かれないが、かつてミオン国の大神女で、今は文国王室にいるものだと名乗る目隠しをした女と兵達に、ソリュウは飛行船で連れていかれ、ハリムは取り残される。
次のエピソードのタイトルが「妙雲2」つまりホン・ハヨン(홍하영)=묘운(=みょううん)のことだが、今度は、書院時代の仲間たちと、ソリュウの父親の屋敷を夜襲しようとしてる。そして書院の女主人(マニム)の仇討ちに成功。ソン宰相の首を切り取った。※これはまた微妙に時空が変化したような?私の読解力では整理がつかない。
さらに次のエピソードが、文国に連れていかれても眠ったままのソリュウが、目隠しをした大神女と対話(テレパシー会話らしい)している。その中でも、ソン宰相が討たれたと大神女が伝えている。これは体は、昔のソリュウで、対話しているのは、運命に介入し出した後のソリュウ(※ということになるのかなあ?)
ソリュウは大神女に語る「私は、女の身の狭い世界の運命を変えたに過ぎない。男に生まれていれば、この力を己の為に使い、功を挙げることができたのに。結局この世界は、私を女に生んで殺したのです」と悔恨を。
※以前にはハナに、独りではなく、皆の力を集めなさいと諭された筈だったが、内心密かにこういう結論に達したということか。あるいは、世界に数多ある未来の運命を変えようとするロマンチックSFからフェミニズム的にもう一段階踏み出した注目作となるのかもしれない。

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