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2020年1月

2020年1月28日 (火)

#韓国の漫画 韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20200128) #今の日本人に一番薦める韓国純情漫画

Sori5「대답하세요!  프라임 미니스터(お答えください!プライムミニスター=総理)」5巻。임주연(イム・チュヨン)。大元CI。4巻の記事はこちら
表紙、労働党党首、トーマス・カーディナルのこれまでの人生を描くことにほとんどが費やされている。幼くして両親を失い、祖母との不仲。孤独な少年時代。18歳になると放浪の旅に出て、地方の造船所のある港湾小都市に流れ着き、そこの老若男女との交流を通じて人心を引きつけ、結集させる、未来の政治家としての才能を開花させる。一方ほとんど出番のなかった主人公ベンジャミン・ノエルは、トーマス・カーディナルから別れ話を持ち出されたショックで独り落ち込んでいたが、秘書マリーズ・リューに明日は水曜日、PMQ(プライムミニスタークエスチョン=イギリス下院議会の党首討論。日本と違い事前通告なしの白熱討論となる)です、と発破をかけられると、一気に復活(笑)。
※それでもなおトーマス・カーディナルの人生描写が続きそうだ。最後の方ではトーマスの親族らしいが、正確なところはまだ不明な、エリン(アイリーンかな)・カーディナルが過去回想シーン風に登場した。
※若きトーマスが流れ着いた港湾造船所のある小都市で、これまでとはまた違った社会派映画風?英国趣味濃厚。そんな中でも作者の才気が冴えるのは、成り行きで総選挙に立候補することになった若きトーマスの政略。地元の労働党支持者である労働者達は、中央から派遣された労働党候補と党の方針に不満なのだが、党本部に彼らの声は届かない、すっかり諦念の空気に満ちている。そこで、トーマスは自分が立候補して当選したら、即辞退する。そうすれば再度補欠選挙が行われる、そうなれば、党本部もこの街の支持者の声を真剣に聴いて、候補者と方針も見直さざるを得なくなる、そうすることで、この街の人々に勝利を実感させるのだ、という、日本で言うなら政局をこの漫画の作者が立案したのが独創的(笑)、と私は思う。
※何が今の日本人にお薦めかって?今の醜悪と無関心、倦怠感に満ち、知性の劣化した日本政府の統治の現実と違って、この漫画の政局ドラマは理知的でリアルながら熱い、ポリティカルコレクトも理想的に描かれ、しかも愛憎のドラマも美しく、全てが活気に満ちている。


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2020年1月22日 (水)

#アジア文学の誘い@チェッコリの第10回は、話題の『#となりのヨンヒさん』に行ってきました。

Photo_20200122224101 というわけで。同書について、集英社の担当さんや翻訳の吉川凪と語りあう、というので行ったのですが、定期的に開かれるアジア文学についての会、かの中国現代SF「三体」も取り上げ済みと聞いて、しまった、私みたいな怪しいオヤジは場違いだったか、と苦笑い。
それは置いといて、聴いたところを思い出して以下、ずらずら書き並べてみると、いつになく大勢の人が集まっていたとかで、本書は、幅広く多くの読者を獲得しているようだ。日本版の挿画もいい。アジア文学は2014年から翻訳が急増した、要因は、「華文ミステリ」の登場、「カステラ」日本翻訳大賞受賞、ツイッター文学賞をアジア文学が受賞etc.が考えられる。(チョンソヨンの作品群には)諦念ではなく、変えていこう!という意欲を感じる、と同時に押しつけがましさがないのがいい。収録作の「宇宙流」は男女を感じさせない文章がいい。
※とにかく好評だったということだ。それに比べて日本のSFファンの情ないこと、「三体」に夢中で、本書のことを知らない人ばかりだ。「三体」何するものぞ(笑)。

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2020年1月21日 (火)

本感想: #南河国物語 #濱野京子 作 #Minoru 絵 静山社

Photo_20200121214301驚いた。といっても、あの濱野京子が中華風ファンタジーだからではない。濱野京子が中華全般に造詣があるのは知る人ぞ知る、現代中国絵本の翻訳書もあるぐらいだし。さらに下世話なネタだが刊行が「ハリポタ」の出版社でも驚く程の事ではない。
サブタイトルが「暴走少女、国をすくう?の巻」本当に救ったのかは読んでのお楽しみだが、私事で、昨年秋には出ていた本書を読了するのをここまで引っ張ってきたのが悔やまれる程面白かった。
軽妙な語り口で展開する物語は、利発な小娘が舌先三寸で父親から周囲の大人達、為政者までもあれよあれよという間に手玉に取って動かしていく・・・で最後まで一気に読まされてしまったのに驚いた。
これまでの濱野京子の小説なら何度も立ち止まるように頁を繰る手が止まり、想起するところがあるのが私の常だったからだ。
こんな調子のいい話と語り口に徹したのは、この作家の新境地かもしれない。
※だが、それでもあえてうがった読み方をしたくなるのだが、これは今時の新書(ノベルズ)で氾濫する若い人向けのファンタジー小説に対する皮肉かもしれない。

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2020年1月12日 (日)

#韓国の漫画 韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20200112)

Tiara19「Tiara(ティアラ)」19巻。原作이윤희(イ・ユニ)。漫画카라(カラ)。ソウル文化社。18巻の記事はこちら。秘密の魔法陣にたどり着いたヒロイン、フェイ等だが魔法陣がフェイを拒絶した。そこで、フェイが残り、これに魔法陣を制御でき、フェイを愛するキスチェルは共に。女性護衛騎士クレンシア・カストリス、フェイの妹サセニア王女(セヌー)のみ脱出した。しかし脱出先はアジェンド帝国ではなくクレンシアや情報提供者クリスチャン・カストリスの母国、アルメイアだった。そこで待っていたアルメイア公王(※かな?=공왕)が言うのは「(サセニア王女を)待っていたよ、わが娘よ」これは、いったいどういう意味か。
リューン帝国に残ったフェイとキスチェルの前には、皇太子サンレー自ら現れ、フェイの額に触れると彼女の神は銀髪になり、額にリューンの一族の紋様が現れた。サンレーは言う「フェイ、私がお前の父親だ」。つまり、あの「엘세스 마이아(エルセス・マイア)アジェンド帝国・オレン王国女王、衛星都市キフレンの王女」が謎の事件で失踪中、リューン帝国内で妊娠しアジェンド帝国への帰国後、昏睡と記憶喪失中に生んだフェイの真の父だということだ。リューン帝国側ではマイアは死んだと思われていたそうだ。
ここで、キスチェルは神官の力で幻視する。リューン帝国の王女としてのフェイの姿を。以前にフェイに誓った彼女を絶対に幸せにする。これは単なる愛の表現ではなく、神官としての「契約」の力で相手の運命を変えることだった。だがその誓いが大き過ぎると契約が成就された時点でキスチェル自身が力の全て=命を消耗し永遠の眠りにつく。リューン帝国の王宮内に戻ってもフェイはショックを受けたまま、眠る?死んだ?キスチェルの傍を離れない。しかしサンレーは、アジェンド帝国の神官の子の遺体?を置いておく訳にはいかない、帰国させると決断する。
※物語の根幹ともいえる大きな伏線、フェイの出自と能力の正体が回収された、詳細はまだまだ不明だが。一方で義理の妹?セヌーの出自の謎が伏線となって発生したが。巻末は、リューン帝国の王族と古(いにしえ)の神々の関係を解説。魔法陣がフェイを拒絶したのは、リューン帝国王家の未成年者は親が禁を解かないと魔法陣を使えないからだそうだ。またカバー見返しの原作者イ・ユニ本人のコメントによると上記の台詞はかの「スターウォーズ」のあの有名台詞のパロディで最初に構想した場面だそうだ。

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2020年1月11日 (土)

#韓国の漫画 韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20200111)

Hanagatiredo4 「花が散れども」4巻。송 하(ソン・ハ)作。大元CI。3巻の記事はこちら。4巻の表紙はヒロインのイノクの幼馴染のクムワ(発音はクマに近いと思われる=금와)。私は3巻の感想で、一方民の間でも動きがある。天体観測などの技術や知識を独自に国外から入手、学んだ人々が何かオンランの気象状況の危機を知ったらしい、と書いたが、その民の一人がクムワなのだ。彼は村の知識人から密かに状況を聞いてイノクを通じて、生き神ラアンに謁見を依頼し、これが通った。だが彼はただ「民を愛しておられますか」と問うだけだった。ラアンは当然だと答えるが。クムワの眼は?その真意は?ただ仲間たちに「最後に確かめたかった」というだけだった。
最早苦悩するのはラアンや民草だけではない、ラアンを支える六神官たちも同様だった。会議中、奇行で知られた若いウンスが明言する「皆さん、同じことを考えているでしょう。次のラアンを決める時ではないのか」と。生き神の転生者を探す(決める?)時なのか。
イノクもラアンの脇で忠誠を尽くすだけに、ラアンへの苛立ちを隠せない。自分は力になれないのか。自分に何を遠慮なさっているのか?と直接疑問をぶつける。ラアンは「人間としての『私』の身はもう終わりなのだ」と。
※私は3巻の感想の最後にも書いたが、王権神授国家の終焉が気候の変化(寒冷化のようだ)と王の神通力(その真偽や組織の腐敗云々ではなく)の明確な弱体化を通じて、社会機構の変化を促す様を群像劇としてじっくりと描くようだ。極めて地味な展開だが、私には興味深い味わいのある作品だ。

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