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2020年8月

2020年8月26日 (水)

#韓国の漫画 #韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20200826)

Tigau6「이건 좀 아닌것 같아 !」6巻。한송이(ハン・ソンギ)作。ソウル文化社。原題は、訳すと「これ、ちょっとないんじゃない!」位のところか。全編カラー。5巻の記事はこちら。※お約束の前振り⇒「絵」というか見せ方そのものは普通なのだが、設定が特異なので、また書いておくが
『24歳の女性、ヒョンビンは、異界の存在が見える。自らを「울(ウル)」と名乗る異形のモノ達にとって彼女は、捕食者のヒエラルキーの最上位に位置するというのだ。基本的には、日本の漫画でもよく見られる、いわゆる「霊とか異界・異形が見える体質」の女性の話だが、韓国人が描く鬼神やトッケビ(おばけ)はかなりグロテスクでエグいのが特徴で、ここで描かれる「ウル」もなかなかユニークだ。
ヒョンビンの相棒となったのは、祖先は異界の蛇で、文字通り地を這っていきる己に幻滅し、人間になりたくて、人の姿になった末裔が、ヒョンビンと出会ったら、捕食関係の気質が現れてしまった21歳の青年チ・ヨジュン。』
ヨジュンを連れて大学に休学届を出した後、ヒョンビンがアルバイトしているレストランに客としてやってきた同期の女性達に出会った途端、ヒョンビンの過去の記憶の「気」がレストランの社長になったチョンスの意識に流れ込む。そこに幻視されるのは、捕食者としての彼女が男子達を惹き付けてしまい、振られた男子達の恨み、女子達の揶揄中傷を受けて苦悩する心情だった。
そしてまたチョンスとヒョンビンの様子を見て、心無い噂が立ち始めた。
仕事が終わるとヨジュンが待っていて同行してくれるが、やはりウルが現れ、ヒョンビンの瞳が金色に輝き、このウルを吸収する。続いて現れたのは、かつてウルが作り出した人形に、ヒョンビンが人間として生きる力を与えた少女だった。※このエピソードは2巻の記事参照。
この少女の名は우ウイ(우희)。かなり雰囲気が明るく変わっていたが、ヨジュンは不信の目を向ける。この場はそれで終わったが、実はウイは、これまで人間の若い男を自宅に連れ込んで、食べていたのだ、
翌日、やはりレストランの中では、ヒョンビンの心無い噂が発していた。苦悩するヒョンビンを励ますヨジュンだが効果はない、そこにヒョンビンの母がやってきた。ヒョンビンの妙な気を感じたのでやってきた。二人でヒョンビンの住むマンションに入ると、そこには異空間がつながっていて、巨大な蓮の花の蕾があり、ヒョンビンはその中にいるらしい。母は慣れているらしく、ヒョンビンに呼びかけて眠る彼女を無事に起こし、改めて励ますのだった。
一方ウイは、また今晩も男を食べようとしていた。そこにウイの気を感じたヒョンビンとヨジュンが現れた。さらに、4巻のエピソードの動物の霊が棲み花々の咲く冥界でエレベーター係をしていた人間の男の姿で頭に角が生えている鬼神も現れた。仕事で来たという彼がウイに呼びかけるとウイは花になった。人間の世界に根を下ろして人間を幻惑させ悪心を広げる「悪名花」。これを回収する仕事に来たという。
※この冥界、朝鮮神話で「西方花畑」というところらしい。このエレベーター係が仕える女神がいて、これも朝鮮半島では三神とか産神とか言われる、多様な姿や役割を持つ存在が元ネタらしい。この女神の話で、人間の恨みを集めて悪名花を咲かせ世界を滅亡に導くその間際まで魅力的な香りを放つ存在がいる。これを防ぐため「花監官」を探してきてくれと、指示が追加された。この「花監官」も朝鮮神話で西方花畑を管理する存在らしい。
次のエピソードは、ついに人間と共に生きることを諦めると決心したヒョンビンは、しばらく旅をすると両親に宣言、ヨジュンを連れて手始めに両親というより父親のみ記憶している、母との出会いの花園を探してみることにする。すると早速桃の木の花が咲き乱れる場所に着き、またしてもヒョンビンを花嫁として待っていた、と宣言する桃色の衣をまとった男と少女の姿をしたコンビが現れた。
※筋を追ってみたら、6巻にして急に場面転換が小刻みになったみたいだし、朝鮮神話の類のモチーフが急に頻出してきたので、いつものことながら、韓国純情漫画で朝鮮古典の元ネタありのエピソードが出ると私はお手上げ状態になる。後記漫画に出典の書名らしきものが描かれているのだがよく分からない。次回でもうちょっと詳しい解説を期待したい。

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2020年8月22日 (土)

#韓国の漫画 #韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20200822)

Rure35 「RURE(루어)」35巻。서문다미(ソ・ムンダミ)。鶴山文化社。34巻の記事はこちら。本の帯カバーには「チャ・クン カナス」とある。34巻を受けて、エピソードはミュールゲンの母「ファナケット(파나게트)」の話となり、時代と舞台は、ファイル王国のチャ・クンの名がカナス、王妃が戦闘部族アパハン族のヌハラン。アパハン族がファイル王国に服属した時にヌハランが連れてきた、アパハン族長(故人)との間に産んだ子がアサハ。まだカナスの後宮は無く、ミュールゲンもタマルも生まれていない(※そう言えば、現チャ・クン、タマル王子は正式に王位に就いたのかよく分からない)。
ファイル王国の人々の話題はファイル王家の血筋でないアサハをカナス国王が王位継承権者として認めたというので、国内世論も反対派、ヌハランがカナスとの間に王子を生むまでは問題を棚上げしようという穏健派、王の言う事が絶対、の3派に分かれている、という時代。
ファイル王国内は、先の戦で崩壊した城壁の修復という大工事に追われていた。
この世界、ルディムナの建築物は、魔獣が嫌う気運を魔法で掛ける「魔法建築」であり、石材一つ一つにこの魔法を掛けるのが「魔法師」の仕事である。彼らは、この魔法に媒体となるものを必要とするが、知識を利用すれば魔力を持続できるので多くは「魔法学者」となる。自らの力で戦闘魔法を使い戦士や傭兵になり、武力集団を成すのが「呪術師」。その両方ができるのが「魔道士」。
ファナケットはその魔道士であり、城壁工事の魔法師としての契約で城壁内に入れたが、黒い翼を片翼だけ残した翅族の末裔、通称「渓谷の暗い洞穴族」の呪術師だったという出自を明かすことは出来なかった。しかも自分の魔法師の力を使って、神官やルキアの目を欺いて翼を不可視化し、黒い片翼を残しているのだ。
そのような危険を冒してまでファイルに入ったファナケットの野心は、古の魔道の極み「天空城」の再現、その為の調査だった。
偶然、カナスの目に留まったファナケットは、即、彼に、王城の真下にある天空城へと導かれた。カナスには一目でファナケットの出自、特性が判明したらしい。カナスはファナケットにファイル王家の秘密を明かす。天空城を動かすには、両翼のある完全な翅族か、チャ・クン級のファイル王族でなければならない、だから今のファナケットには動かせないと。
しかしカナスは取引をファナケットに持ち掛ける。ファイル王族は女が生まれても短命で数が少ない。ファイル王族と異種族の間には完ぺきな子が生まれる。確率は五分五分。母の血は完璧な翅族である、次代のチャ・クン。でなければ、王家の秘所に侵入して処刑されるか。
※つまり、後宮に入って自分の子を産め、と言っているのはいうまでもない。しかし読者から見るとカナスとヌハランの仲は悪いどころか相思相愛、カナスも争いは好まない穏やかな性格に描かれているし、二人の間に生まれるのが第三王子タマルなのでカナスの真意がよく分からない。しかも、結果的にファナケットが生んだミュールゲンは真のチャ・クンにも完全な翅族にもなれないことは分かっている。
※作中の注に、単行本4巻と5巻を参照とあるので、同巻を引っ張り出してみたら、初版は2005年。読み直してみるとすっかり忘れていたどころか、現チャ・クンとしてのアサハも、第二王子ミュールゲンも二人ともカリスマ性を漂わせる描き方で登場していた。さらに5巻末にはファイル王室のカナス以下の家系図と各人の簡単な解説も付いていた。

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2020年8月15日 (土)

#韓国の漫画 #韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20200815)

Tiara23「Tiara(ティアラ)」23巻。原作이윤희(イ・ユニ)。漫画카라(カラ)。ソウル文化社。22巻の記事はこちら。「엘세스 마이아(エルセス・マイア)」(潜伏中の、フェイの実母、衛星都市キフレンの王女、アジェンド帝国・オレン王国女王)はアジェンド帝国に戻りフェイを生んだ時はアジェンドにいた時の記憶を喪失していたが、錬金術師に頼んでこの記憶を再生してもらうが同時にリューン帝国滞在時の記憶を消してもらった。娘がリューン帝国の皇太子の子である記憶=出生の秘密を抹消して娘を守ろうとしたのだった。マイアが娘に付けた本当の名は「ウン・ファリュン(은화륜)」ファリュンだった。
一方、リューン帝国をキスチェルと共に出てアジェンド帝国に戻るフェイに実父、サンレー皇子は、偽装身分証を渡す前にフェイの真の身分証を渡し、このフェイの本名を教えると、フェイはこれをきっかけに、リューン帝国王族の力を覚醒して、このマイアとフェイを巡る一連の真実を幻視した。
アジェンド帝国側でこの事実を知る唯一の人物がマイアの実の兄だったらしく、この人がその後密かにこの子を後見し、将来はフェイロン王国に嫁入りさせるつもりで「フェイリア」と仮の名をつけた。※この兄、悪人ではないがあまり周囲から信頼されていないらしい。
女性護衛騎士クレンシア・カストリスと共にアルメイアに逃れ、クリスチャン・カストリスの邸宅に滞在中のセヌー(サセニア)は少女型ホムンクルス、イプニア(이프니아)にやたらと派手に貿易商を出入りさせ贅沢な内装品の購入をさせていた。これが実はアジェンド帝国の王位継承権者のみに伝えられている符丁で、アジェンド帝国(青)、国(オレンは赤)、皇族個人(セヌーは黄)の3色の品々を動かすことで自分の存在を王族にのみ伝える仕組みだったのだ。セヌーの狙いは、マイアに自分の生存を知らせることだったが、先に現アジェンド帝国皇帝が気付いた。
だが、セヌーの秘めたもう一つの狙いは貿易商人からリューン帝国の元王族の現暗殺者=유영(ユヨン)=通称黒王に関する情報を得る為だった。そこに、当のユヨンが現れた。思わず「会いたかった」と抱きつくセヌーは自分の感情をまだ持て余していた。
セヌーの符丁に気付いた現アジェンド帝国皇帝とその実子であるフェイロン王国第一皇子アーセルスは、アルメイア王国内でフェイロン王国騎士団を動かしてセヌーの確保を図る。(※ここでまた、レフィシニアン伯爵家情報部を名乗る女性新キャラが登場した。)
しかし、一足先にこれに気付いたセヌーの一行は、アルクリス王国大使館に入り同国王(※これまた新登場キャラ)に連絡を取り魔法陣を起動させてアルメイア王国を脱出した。
入れ違いに偽装身分でアルメイア王国に入国したのは、フェイとキスチェル、フェイの新しいホムンクルス、シャン、その護衛役であるサンホ皇子とその部下一人の一行。サンホは兄サンレー皇子のアイディアで女装させられていたが、元々美形なので却って目立つ。しかも直ぐにサンホはアルメイア王国騎士団とフェイロン王国王騎士団の動きを目視して不穏な動きを察したところ。
後記解説は、アジェンド帝国王族の色暗号。ちなみにマイアの個人の色はピンク。フェイの色は緑だそうだ。
※これでも今回はシンプルなストーリーの方だ。それも新設定続出でメモするだけでも楽じゃない。私が忘れっぽいだけだと言われたらそれまでだが。
※カバー見返しの作者の近況は、カラ、イ・ユニ共にコロナウイルス禍の下での日常だ。

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2020年8月12日 (水)

#韓国の漫画 #韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20200812)

Vampiretoshokan12 Vampiretoshokan13「뱀파이어 도서관(=ヴァンパイア図書館 Vampire Library)」12巻、13巻。完結。이선영(イ・ソニョン)作。鶴山文化社。11巻の記事は こちら。10巻の記事はこちら
ヴァンパイアの当然変異、一番目の美食家アインとヴァンパイア図書館長カベルは、単なる二重人格ではなく、アインがイブと出会って愛を知った時、心身共に分裂した、文字通り一人が二人になっていた。そしてアインは図書館理事長コンラッドとヴァンパイア協会長(女性)の間に出来た子だった。アインにとってイブとは待ちに待った極上の食でしかなかった。図書館に現れたアインはすがりつくリリスを一瞬にして食らいつくし、次は司書ルイの弟の筈だったが、すんでの所でルイに救われ図書館外へ逃げた。ヴァンパイア協会長はヴァンパイアハンターを図書館に派遣したことを協会幹部に宣言し、図書館内ではアインとカベルの壮絶な最後の対決が始まった。
※今更ながらアインとカベルという名前はカインとアベルのシャレだったんだろうな。
マノは図書館内を逃げる最中に失神。夢の中で最初のイブや九代目、十代目といったイブに出会い、転生イブに伝承された力は突然変異体ヴァンパイアの弱点を見つける力であったが、アインには弱点がないことや、最初のイブはリリスの殺意を知りながら、殺される運命を甘受したことを教えられ、最初のイブからカベルへの遺言そしてマノこそは運命には無かった十一代目のイブであり故に希望そのものであると告げられる。
本来の力でカベルを圧倒していたアインだったが、実はカベルは時間をかけて図書館の建物そのものに自分の血を浸み込ませて自分の言霊の力に成るようにしており、最後にアインの流した血の一滴を加えたことで、アインとカベルのヴァンパイア能力そのもの化した図書館にアインを吸収させ建物ごと自滅させた。
エピローグは、マノからカベルに伝えられるイブの遺言、カベルとの愛の誓いと幸せ。そしてマノから今度こそ自分をカベルの契約者ヴァンパイアにしてくれという望み。だがこれに応じたカベルの最後の条件は「もう少し背が伸びてから」だった。
※今風のBLヴァンパイアホラープラスコメディドラマで楽しませくれた話もこれで完。この作者以前は線がいささか過剰だったが本作でかなり整理された。今後の新作も期待したい。

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2020年8月 4日 (火)

#韓国の漫画 #韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20200804)

Concours12 Concours13「더 콩쿠르 the concours (ザ・コンクール)」12巻、13巻。完結。정설화(チョン・ソルファ)作。ソウル文化社。11巻の記事はこちら。フランス仕込みの新鋭の韓国青春漫画。
最終審査に残った3人、アン・ホギョン、ソン・ウィジュ、チョン・シャオによるファイナルが観客を入れた状態で、ピアノ伴奏付の演奏でいよいよ始まる。※サブエピソードとしてはチョン・シャオは、母親がつきっきりで面倒を見ていて、過保護と期待に相当な負担を感じながらこれまでやってきたことが描かれた。失意のイ・ヒャンギにホギョンは屈託なく新しいヴァイオリンを見てもらう。その様子を見てヴァイオリン制作、修繕の師匠は再度ヒャンギを励ますのだった。
演奏1番手、ウィジュは、左手の激痛を鎮痛剤とサポーターと気力で抑え込み、本番ではそのサポーターすら外して完璧な演奏で観客の惜しみない拍手を引き出した。独白「勝ちたいんじゃない。俺のヴァイオリンへの愛情、誠意、意志だ」
2番手、シャオは本番直前、母が丸め込んだ長い髪がほどけてしまうアクシデントが起きるが、彼女はその場で後ろで束ねただけで、さらに履いていたヒールさえ脱いでしまい、裸足で舞台に歩み出る。まるで自分を縛るものを捨て去るように。独白「聴かせてやるわ。私の演奏を」
3番手、ホギョン。今まで彼に関わってきた人々全てに注目されながら、演奏が始まると審査員は、こう表現する「先の二人は、人間の限界を越えた完璧な芸術品、建築物。だが今の3番は自然そのものだ。瞬間ごとに人間の見たことのない新しい風景を生み出していく」。演奏後のホギョンの独白「最後ではなく俺の始まりだ」
審査結果は、優勝はウィジュ、2位シャオ、3位ホギョンだった。
コンクール後、ホギョンは高校卒業後、奨学生となってアメリカへヴァイオリンの留学が決まり、ウィジュはコンクール後は治療に専念、だが、やはり卒業後ドイツ留学が決まる。ヒャンギは改めてヴァイオリン製作・修理の修行のためにイタリアへ行くことを決める。そして三年後。シャオは、コンクールの出場者の一人、挑発的なドナ・レボとデュオを組んでコンサートをするという破格な試みをしている。ホギョンは世界を巡るヴァイオリニストに成長していた。ということで完結。
最後は作者後記で7年余りの連載に対する感慨で締め「全ての方に、毎瞬間、新しい始まりが訪れることを願います」※この作者の新作を期待しよう。

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2020年8月 2日 (日)

#韓国の漫画 #韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20200802)

Mumyouki14「無明記(무명기)」第14巻。完結。윤지운(ユン・チウン)作。大元CI。12、13巻の記事はこちら。절 (=チョル=絶)先生と呼ばれる医師。身の回りの世話をしている侍女は풍원(プンウォン)漢字は、風園または豊園。先生の昔馴染、無盡(ムジン) 三人を中心とした中華圏時代劇奇談集。
13巻の不幸な夫婦のエピソードの締めから。血まみれの妻は視力も体の自由も効かなくなった夫と共に意気揚々と自ら小舟の櫓を漕いで危険な川に出ていった。後に残ったチョルとムジンは、追手をやはり血まみれとなりながら皆殺しにした。
そしてプンウォンの待つ家に戻ると、チョルは意を決したように、かつてムジンの父の妾であり、その後ムジンと愛し合ったあの女は生きている、と明かした。ムジンとチョルが逃亡した後、チョルは、かつてのムジンの父の屋敷を訪れると、閉ざされ打ち捨てられた状態の家の中で、ただムジンへの執着心のみで生きながらえていた女を見つけ、虚の世界の파조(=パジョ=破阻、蛟(ミズチ)=「교」とも言う)の元へ連れていき面倒を見てもらっていたのだ。
女を虚の世界から連れ出し、ムジンに会わせると二人はチョルに別れを告げて旅立った。※チョルは二人から別々に、こんな不幸な目に遭っても思っていた程相手を恨んではいなかった、やはり愛していることに気付いた、と同じようなことを聴いて二人を再会させる決心をしたのだった。
そしてチョル先生もプンウォンに家と金を残しては姿を消した。プンウォンは待ち続けた。その間に、これまでのエピソードに登場した、つまりチョルの世話になった人々の消息も伝わってきた。皆、亡くなってしまった。プンウォンには以前彼女の魂に憑りつこうとしていた亡霊達も集まっていたがその度パジョがくれた杖が守ってくれた。そのパジョにもお前とは(チョルを介しての)縁が切れた、と別れを告げられた。そして三年後。プンウォンが二十歳を過ぎた頃チョルは戻ってきた、プンウォンが待っているとは思いもせずに。
以下、プンウォンとチョルの長い告白を拙訳で抄訳してみる。
プンウォン「先生は本当に人の愛情が分かっていらっしゃらない。だからムジン様とあの方も忘れてしまうだけだと思っていらしたのです。私のこともそうです。過ぎた日々を振り返らない先生が当惑されても、先生は私の全てでした。愛しています、先生。私の喜怒哀楽は全て先生によるものです。私は先生の俗世の根と成れませんか。以前ムジン様がおっしゃっていました。人には誰でも花のような季節があると。私の花のような季節は先生と過ごした歳月です。先生の季節は?」
チョル「そう、あなたが成長していく姿を眺めていた季節だ。」
プンウォン「先生に直ぐに変わってくれとは言いません。今はただ、一緒にいてください。」
チョル「そうだな。二度とあなたを置いてはいかない。結局あなたを苦しめるかもしれないが」
プンウォン「二人とも幸せになれるかもしれない。先に決めつけないでください。人の明日は分からないものです」
※後書き漫画は、二人のこの後をアシスタントと担当編集者に聞かれた話で完結。プンウォンの、亡霊を引き寄せる体質は、人外と正式に婚姻の式を挙げないと治らないらしいので、やはりチョルしか相手はいない、とのことだ。
※いつもの感想と同じだが、やはり、作者、ユン・チウンの描写力は本作でも発揮された。決して明るいエピソードではない伝奇時代劇ホラーで、個人のアイデンティティを追求しつつも読者を逃さず、人間の愛憎の業の深さを巧みなテクニックで描いて魅了し続けた。

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