カテゴリー「上橋菜穂子」の記事

2017年12月 9日 (土)

テレビドラマ感想:NHK「#精霊の守り人 最終章 第3回 ルイシャ贈り」(20171209)

武田鉄矢っていうのは昔から何をやっても「武田鉄矢」だねえ(笑)。原作の構成と登場人物を絞り込んだことで、世界政治の為政者と関わったこととその変化に直面して、ジグロという他人の気持ちに「共感」し、己の復讐心の狭量さに思い至るバルサの心境の変化とアイデンティティの成長が、分かりやすくなっていた。その上でログサム王が迫る、嘘をついているのはどっちだと問う「悪魔の選択」は同時にバルサの試練。

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2017年12月 2日 (土)

テレビドラマ感想:NHK「#精霊の守り人 最終章 第2回 カンバルの闇」(20171202)

結論は「トト」こそリアリティだった!。
前半は、中村獅童のカンバルのログサム王の冷酷非情振りが目玉かと思ったが違った。インパクトでは実は「米良美一」さんだったのだ。これまでのこのドラマは異世界ファンタジーのリアリティを醸し出す特撮に四苦八苦、紆余曲折、試行錯誤etc.の連続で。
しかもネタバレになるが、この異世界はこれで完結・完成した世界ではなく、さらに隣り合わせに人間の世界でない異界が現存している世界なのだ。
ところが第一部では、この異界の魔物が正体を現したとたんに特撮が怪獣映画のようになってしまい、第二部では特撮は大分違和感がなくなったが、考えてみると、アスラの魔力以外に露骨な異界の出番がなかったのだ。
だが、今回はそうはいかない筈だ。早くもルイシャ自体、正直言えば東急ハンズで買ってきたのか、とツッコミたくなった。それが、米良美一さんのトトが出てきたら、失礼ながら普段なら同氏の存在自体リアリティを感じられない存在だが、それが異世界の中で異界を伝える「トト」になったら驚くべき違和感のなさ、伝える言葉にリアリティが付いてきた。もしかしたらこの大河ファンタジーのリアリティは「米良美一」によって達成されるのかもしれない、と当たらない予想をしておこう。

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2017年11月25日 (土)

テレビドラマ感想:NHK「#精霊の守り人 最終章 バルサ、故郷へ」

最初は違和感ありありだった、構成の脚色にこちらが慣れたのか、あちらこなれたのか(笑)。OPのバルサの「闇舞い」をイメージした?華麗にして象徴的な赤い衣装が良い。
原作の導入部を吹っ飛ばして、チャグムと共に一気に世界政治と国内謀略の世界に突入する構成は、小説の緩急とは違い、ドラマは観る者をそらさない戦術に出る(笑)。
ロケは相変わらず、森林内にスモーク焚いてごまかして(笑)、セットは、先の商業国家の活気とエキゾチックさ、新興国の威圧感、その前の黄昏の王国の見掛け倒しの荘厳さ、とはこれまた違う、厳しい自然環境の中の暮し振りとやはり厳しい人心、切迫感が出ている。
キャラクターでは、「新」聖導師の鹿賀丈史は、笑っちゃうほどハマり過ぎ、吉川晃司はアイドル時代の生意気さがいまだ偏見の残る私には別人のようだ。
なんといっても出色は、渡辺いっけいのカグロ、最初はあるいはいい人にするのかな、とも思っていたが、ハードアクション、油断ならない胡散臭さまで、ハードさと重みがあって驚きの巧さ。
中村獅童のカンバル王のウザい事、この上なさ(笑)とカグロの息子の反応から、もはやこのまま国王に謁見してはならない、いったん逃亡に転ずる、ドラマ構成の必然性もきっちりと出ていた。次回への引きと収束性は十分だろう。

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2017年3月25日 (土)

ドラマ感想: #精霊の守り人悲しき破壊神 第2シーズン第9回「#呼びあう魂」

先ず、泣かせるサブタイトルではないかw。第2シーズンも最終回、振り返ると、実写ドラマはウェット、任侠、人情に訴えるキャラ作り、ドラマ作りをするんだな、あらためて原作小説はドライ、クール、知的な作りだったんだなと感じた。
だからこそ、ヒュウゴの食えない奴感(笑)が際立って見えるのだ。敵と味方をはっきりと分けられない、ドライさ、クール、知的にタフさ、と原作要素を体現していたのヒュウゴ(だけ)だったのだ。
一番人気でツイッターを席巻したイーハン役は、どうも、ファンタジードラマの世界の住人になりきっていなかったような気がする。
ヒュウゴの一方でシハナのキャラは、割を食ったような気がする、真木よう子は、自らノリまくってキャラ作りもしたようだが、それが良かったかは、疑問が最後まで残った。ただしドラマ的にもウェット、任侠、人情路線だったので、彼女の責任ばかりとは言えない。但し、私が長年妄想してきたスピンオフした想像のシハナのいずれとも全く異なる姿で意表を突かれ新鮮で印象的だったので、ドラマ的にはおそらく成功だったのだろう。
ストーリーとしては、小説とは視覚に訴えるとはこういうことか、なるほどと思った(笑)。特に周辺の新興大国の思惑と古くて小さな国の為政者の戦略、思惑の知的な戦いの妙味を小説が時にチャグムを直接出さずに俯瞰したような構図から(神の目線とでもいうか)じっくりと記述するのに対し、実写ドラマは、チャグムの逃避行の緊迫感、切迫感を一気に表出することで、理屈抜きに役者の肉体で語らせていた。ドラマは、老いた小国の若い王子のお手並みと肝を試してみようという為政者とブレーン達の駆け引きの妙味がドラマチックだった。
また、今回は、各国の太った(ふくよかな)女性の役者とキャラクターが皆、いい味をだしていたなあ、これは冷やかしでもセクハラでも差別でもないぞ。本当に太古よりの大地の豊穣のシンボルと、現代社会のスリム過ぎる女性への偏愛の不自然へのアンチテーゼとしても十分だろう。

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2017年3月18日 (土)

ドラマ感想: #精霊の守り人悲しき破壊神 第2シーズン第8回「#王子の足跡」

「天と地」篇開幕。チャグムの足跡を追うバルサ。頭の良さとタフさは、綾瀬バルサに文句はないし、チャグム役の王子らしい気品と器量、線の細さと肝の太さを併せ持つ巧さもいいし、セナ役、その他脇役(クリスや、プロレスラーの方の登場にはニヤリ)もいい味出してるが、やはり光ったのは鈴木ヒュウゴwだ。綾瀬バルサや真木シハナとは違った、クレバーさとタフさ、複雑で奥深い個性もさることながら、今回は。街の喧嘩シーンが堂に入っていて巧い。いわゆる殺陣とは違う腰の入ったタフな喧嘩振りwが実にいい。
新ヨゴ国の王様とその周辺の高位な人々の俗物、線の細さっぷり、小者感は相変わらずだった。まさにチャグム王子と対照的なのは、意図的な演出と役作りだったのだろうか。故・平氏のまるで既に演技を越えて己の運命を悟ったような聖導師振りは皮肉としか言いようがない。

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2017年3月 4日 (土)

ドラマ感想: #精霊の守り人悲しき破壊神 第2シーズン第7回「#神の守り人」

NHKがやたらとクライマックスと煽っていたが、「神」篇の最終回ということだった。実写版で観るといかにアスラ役に子役の荷は重過ぎるかを感じた。しかし、同時に見事にそれを乗り越えた見事なアスラ役だった。
原作の「生贄」の儀式を舞台に、タル人の神、いや転じて鬼神、あるいは悪鬼を召喚して、対立南北勢力=いずれもイーハンが真の「ロタ王」となる障害となる=を一掃しようとするシハナの深謀遠慮は、ドラマでは今一つスケール感がなかったが、あるいは小説とは違いこういう理屈っぽい政治的大局観の展開は難しく、映像には向かないと判断しての演出だったのかも知れない。
そこで、トリーシアのカルト宗教的な狂気とエロティシズムがクローズアップされる訳だが、これに壇蜜が見事に応えたのが驚いた。ひょっとしたら役者としても飛躍だったのでないか。
故にいささかババをひかされたか?、シハナの真木よう子だが、さすがにバルサ対シハナの殺陣は、文句なし、女優同士の殺陣としても屈指の出来栄えだったかもしれない。
あえて文句をつけえるなら、視聴者にキャアキャア騒がれているイーハン役は、やや線が細くて、異世界ファンタジーの骨太な世界観には力不足だったか。
また、ラストにアスラが目覚めるまでの展開はせっかち過ぎる気がした、もう少し諸々余韻を引っ張ってほしかった。

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2017年2月25日 (土)

ドラマ感想: #精霊の守り人悲しき破壊神 第2シーズン第6回「#帝国の牙」

冒頭以外バルサの出番なし、後はチャグム側の出ずっぱり、まあ、緊迫の政治駆け引きドラマだから場面を切り替える訳にはいかない。
ヒュウゴのセリフ「私は(チャグム王子の)民ではありません」がちゃんと伏線になっている。だからヒュウゴは、自分の身は構うな、と展開を予測して警告したわけだ。その展開にヒュウゴ役の俳優の肉体が説得力を持っている。
しかし、NHKの新聞のテレビ欄向け紹介分が、狙い過ぎというかあざと過ぎるというか、なりふり構わなさすぎる、というか、これは気に入らないね、いくらなんでも。
話を戻すが、タルシュ帝国の意匠は、中世欧州の騎士風か?いささか生地が安っぽい気がしないでもない。
ラウル王子の飴と鞭的な誘惑と恫喝は、新興の強権主義国家らしい、上記安っぽさは、伝統ある王家ではなくて、あくまで力による成り上がり=たたき上げ為政者という演出かもしれない。
そしてチャグム王子の古王国らしからぬ、戦略が発揮される、これ前回のヒュウゴのセリフ「(チャグム王子)一人ではタルシュとは戦えない」が伏線になっている。このヒュウゴの期待にチャグムは応えた。戦術的には無茶苦茶でも、理屈は通っているのだ。チャグム王子は運命に向かって文字通り泳ぎ出したのだ。
しかし、「神」と「蒼路」を並行させた構成は、難しいが成程と思えてきた。動乱の時代であることが一段と真に迫って感じられる。

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2017年2月18日 (土)

ドラマ感想: #精霊の守り人悲しき破壊神 第2シーズン第5回「#聖なる場所へ」

順序は逆になるが海賊役で出てきた森公美子が笑っちゃうほど似合ってる。
さて、虐げられる民が依童アスラを使って鬼神を呼び出そうとすれば、シハナはそれを利用して、ロタ国を変えて、しかし民草の安寧を狙う、筈なんだが、どうもせっかくの真木よう子がどうも小悪党感が抜けないのが辛い。なんでこうなったのかなあ。随分期待しているんだが。
つり橋のシーンのアクションはスリリングさ十分。高島礼子のトロガイ再び登場、この安定感はいいねえ。東出のタンダの朴訥さも良い。
ジグロの、刺客となった友をすべて殺した、業の深さと哀しみ、復讐に燃えた時期と殺し殺されの虚しさを経たバスラの昔語りが、アスラを通り越して、右傾化過激化を推し進める現実のこの日本の政治、世界の戦争の虚しさが視聴者に伝わると切に願う。ネット時代は、こういうことを言うと興醒めというのか嫌がる人が多いのだが、私は絶対違うと思う。
対照するかのように語るヒュウゴの姿も同様。強権主義国家の下で、格差も同化も受け入れてきた少数民族の光も影も、夢と現実の生き方を理解する包容力、共感力をネット社会の人々に培ってほしい。

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2017年2月11日 (土)

ドラマ感想: #精霊の守り人悲しき破壊神 第2シーズン第4回「#笑う魔物」

アスラ役の子役の熱演がインパクト強すぎる。サブタイトル笑う魔物は、アスラがその呪われた力を発揮する度に取り憑いた悪神が本性を現し始めることだけれど、後にバルサのエピソードが挿入されることで、生死を賭けた恐怖と狂気に精神が耐え切れずヒステリーの笑いが出ることをさしているダブルミーニングも思わせる。これ時事的には、自衛隊員海外派遣の肉体的物理的以上に或いは大きな精神的危険に対する風刺までかかった。
本格的にヒュウゴが絡んできた、亡国の辛酸を舐めてきた一人の人間の重みが伝わってくるのはまさに役者の演技の凄みだ。そう支配された辛さよりも豊かさを得て、翻り自国の民を危険にさらしたあげく敗れた為政者への怒りを今こそ日本人は共感すべきだ。
サンガル国はこれで、本格的な出番が終わりだと、南洋の野蛮人といったステロタイプなイメージで終わって損な役回りだな。
トリーシア、母親を無理に出さずひたすらエロチックさを醸し出しているのがよい。
逆にイーハン役が、ネットの人気(笑)とは裏腹にどうも浮いているとしか思えないんだよなあ。これは演技の巧拙の問題じゃない。むしろ演出の失敗じゃないかなあ。
さて、我が偏愛のシハナは、うーん、実はこちらも演技じゃなくて演出に問題なかったか、どうも期待したような現れ方が見えてこない。アクションなしでも、智謀家の凄みが出てこない。最後の最後の笑みでようやくその片鱗がうかがえたか。
ネットでは狼のCGにリアル嗜好の奴があれでも手ぬるいとかいう輩がいるが、リアルにしたらしたで残酷描写だ、と苦情が出るだろうよ。

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2017年2月 4日 (土)

ドラマ感想: #精霊の守り人悲しき破壊神 第2シーズン第3回「#光の力」

今回は、役者と役のハマり具合について色々感じるところがあった。そして原作のイメージ、いやそれ以上に今この現在の私達の世相との風刺的側面とについて。
壇蜜の妖しさは、カルトな母親に意外にピッタリで、そんな母親に支配されている娘の悲劇に説得力が十二分にある。逆にディーン・フジオカのイーハンとその壇蜜のトリーシアに付き合いがあったというのはどうもディーンに説得力感じないんだよなあ。しかし、ロタ国内の南北対立は、近現代世界の政治経済構図としても十分リアリティがあった。しかもタル人の一掃という発言が出た時には、まさに今この時のトランプ米大統領の出現でシャレ=風刺を現実が追尾していることに改めて戦慄する。
しかも対照的に、相変わらずのヨゴ国帝のエキセントリックで己のカリスマにすがるような古臭い政策を描いて、古い聖人君主国家の滅びと強権主義国家の進出を予感させる。
ミクロな構図の方では、渡辺えりのマーサの説得力が並みじゃない。あれは役にはまっているというよりは、渡辺えりというキャラそのものだ。彼女が素で「反戦」「命の平等」を訴えている発言を観たことがあるが、本当に感動した。
最後にシハナがようやく牙をむいた、これが単なる凶暴な牙ではなく、国の万民の安寧という大局観に基づく冷徹さであるように描かれることを期待したい。

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