本感想:オレンジ党 最後の歌 天沢退二郎 作。林マリ 画。
関連記事はここ。遂に、ハマる奴はロングセラー的にハマる(笑)天沢退二郎のファンタジーの新作が、それもオレンジ党の新作が、しかも復刊ドットコムから著された。復刊ドットコムの壮挙だね。復刊ドットコムから直接購入すると特典として本文中の詩の未定稿コピーが挿み込まれてきた。
前書きと後書きを読むと刊行自体が遅れたのは個人的な事情だったようだが、2011年3月11日を契機に加筆修正したのも間違いないのは読めば分かる。
物語世界に表面上は、パソコン以降インターネット、ケータイは別世界のことだ(存在しない訳ではなく風刺はされている)。コンビニも(コンビニ文化自体と言うべきか)存在しない。
しかしシュールで土俗的いや、いっそ泥臭い物語は豊穣でむしろリアルさを感じさせるのも相変わらずだ。政治や社会の寓意も随所に現れている。
それでもなお、物語の語りを超えて作者は読者に呼び掛けずにはいられなかったようだ。圧倒的な現実の前に、言葉を失わず、言葉の力を信じ、創造力とその結晶である物語の力を忘れるな、と。
しかし私には前作(と思うが)「ねぎ坊主畑の妖精たち」(筑摩書房)がなんとも閉塞的、陰鬱な雰囲気に満ちていたので、オレンジ党の冒険はむしろ痛快だ、例えその行く手がトンネルの連続であろうとも。
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