アニメ映画感想「フナン（扶南）#funan」 (20201225) #ポル・ポト #クメール・ルージュ

『FUNAN フナン』本日より公開です。1970年代のカンボジアを舞台に、人々の日常を変えてしまった圧政と、それに翻弄されながらも生き抜こうとする家族の物語です。
「アニメーションの可能性を高めた」とも称された自然の雄大さ、そして風も大きな魅力の本作、ぜひスクリーンでご覧ください。 pic.twitter.com/h7qp0yaf5Y

— 映画『FUNAN フナン』公式 12/25（金）公開 (@FUNAN1225) December 24, 2020

恵比寿ガーデンシネマで、上映2回目で鑑賞してきた。いやあきつい、痛い。そして思いだされる。私がガキ、小中学生の頃のリアルタイムの原始共産制政治の悪夢とそれを象徴する、毛沢東主義、ポル・ポト（※本編中ではこの名は一切出てこなかった、繰り返し「オンカー（ポルポトの行政組織名）」のみ）、クメール・ルージュ、と言ったワードが思い出された。但し、他の近現代史と異なるのは、当時のニュースでも断片的な情報と資料写真だけでリアルな映像が出てこないのがもどかしかった。ただ『ポル・ポトという独裁者は、文字の読める人を片っ端から殺した』という話のみ。そのポル・ポトも資料写真のみで、最後は病死したというニュースだけ。しかもクメール・ルージュはなかなか裁かれない。虐殺の証拠も頭蓋骨の山の写真だけしか伝わってこない。
つまりリアルタイムでは遂にまともに伝わってこなかったあの時代のカンボジアの内側の世界が（実写映画はあったが）アニメーションで再現された。美しくてもリアルで痛ましい、伝えたいことをドラマに凝縮するアニメーションならではの技術が親子の離散と受難、再会、逃避に絞り込んで発揮された。