「사랑 과 혁명 그리고 퀘스트(愛と革命とクエスト)」より #남세오(ナム・セオ)「벨의 고리(ベルの尾)」を読むその4 #韓国の現代SF小説 #韓国 #SF
業務連絡:次回は十月九日(水)午後一時半からです。では、いつもの口上から、おそらく(笑)史上初にして唯一、韓国・朝鮮語自主学習教室数多あれど、韓国の現代SF小説をテキストにした月曜会2。ようやく涼しくなりました。次は台風の心配か。
今年7月に刊行された新作ハードSFアンソロジー「사랑 과 혁명 그리고 퀘스트(愛と革命とクエスト)」より、남세오(ナム・セオ)「벨의 고리(ベルの尾)」を読みます、その第4回目。
2022年12月ストックホルム市庁で開かれたノーベル物理学賞授賞式でデモ騒ぎを起こした女性、自分が勤めるCERNのホイッパー・キャリー博士とそっくりな人を探る「キル・サンウ」は急遽空路でアイルランドのダブリンに向かい、ロレインに対面します。しかし、ホイッパーのことを話し始めた途端、ロレインの態度は拒絶的になりました。
それでもロレインは自分の理論については話してくれます。しかしサンウがあなたの理論の数値をCERNのアレックが証明したと話してもあまりうれしそうではありません。既に自分の「飾った宇宙」の中に生きていれば、リアルな宇宙よりもそちらが大切だ。科学者はそういうものだと語るとロレインは、そういう「自分の飾った宇宙」を脅かす存在がいたらそいつには何をするかわからない、だからこれ以上関わってはいけないと警告してサンウを追い立てました。
しかし、サンウが外へ出ると、既にそこにはホイッパー・キャリー博士が待っていました。食事にさそったホイッパーにサンウがついていくと、レストランでホイッパーは真相を語りだします。キャリーとは、ホイッパー、メルセンヌ、そして「両者が重複したホイッパー/メルセンヌ」が存在している。ホイッパーもメルセンヌもアインシュタインの信奉者、つまり決定論者です。ホイッパーはこれを真実として人がこれを知り受け止めなければならない、と考えてノーベル賞授賞式で騒動を起こした。これに対してメルセンヌは、決定論は「個人が何の罪を犯そうと、それはあらかじめ決定されていたことだから罪悪感を持つ必要がない」と人は考えてしまうから、これを知られてはならない。そのためには量子力学の不確実性が認識される方がいい、と考えている、と。
そして「キャリー」は問うのです。今、ジュネーブではアレックと、ホイッパーとメルセンヌのいずれかが食事をしている。私がホイッパーかメルセンヌか分かるか?、ホイッパーなら大した問題ではない、だがメルセンヌなら、秘密に気付いた相手を殺す、と。
どちらのキャリーか分かった途端に、アレックかサンウのどちらかが殺される。サンウはこれは量子レベルの話ではない、人間の世界でそんなことが起きる筈がない、と思いつつも恐怖で一度は目を閉じます。しかし、目を開けた時に気付いてしまいました。利き腕から目の前のキャリーがメルセンヌであることを。彼女の持つ食事用のナイフが妙に鋭いことを。
※量子レベルの理論を、人間個体レベルのスケールにダイナミックに「大風呂敷」を広げると、こういう話になる、という一例でした。
では、次回からは、また新しいテキストで。
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