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2024年11月

2024年11月20日 (水)

「사랑 과 혁명 그리고 퀘스트(愛と革命とクエスト)」より #이하진(イ・ハジン)「지오의 의지(ジオの意思)」を読むその4 #韓国の現代SF小説 #韓国 #SF

Sf_20241120173301 業務連絡:次回は十二月四日(水)午後一時半からです。では、いつもの口上から、おそらく(笑)史上初にして唯一、韓国・朝鮮語自主学習教室数多あれど、韓国の現代SF小説をテキストにした月曜会2。昨日から一気に冷え込みまして私も危うく風邪をひくところでした。
今年7月に刊行された新作ハードSFアンソロジー「사랑 과 혁명 그리고 퀘스트(愛と革命とクエスト)」より、이하진(イ・ハジン)「지오의 의지(ジオの意思)」を読みます、今作で私が想定するテーマは『ハードSFにおける戦争と平和』。その第4回目。
 AI「ジオ」が管理する「ハック」の中で反物質の対消滅と対生成が繰り返されていたとしたらどうなるのか。スンファは考察と計算を始めます。すると「時間の矢」の群れが揺さぶられ続け、非可逆性が破られて、可逆性の可能性が出てきました。その定量的計算をすると可逆期間は約五年。時間の矢が五年前に放出される可能性が算出されたのです。
スンファはジオのシステムの大前提「全ては人間の為に」を思い出しました。ジオは人類を五年前、戦争で反物質爆弾が使用される前の状態に戻そうとしている「意思」をもっているのではないか。
 スンファはウォン・チニョン大将にあって、この件を説明し、自分にジオと対話する許可を求めます。しかし、大将は問います。人類の時間旅行が可能であり、すべて五年前に戻ると、この五年間の記憶も消える。ならば、人類の時間旅行はこれが初めてではない、何度も、あるいは無限に繰り返しているのではないか。我々連合国は勝利し続けることができるのか、少しずつ歴史は改変されていくのではないか。スンファの功績も消えてしまっていいのか、と問いを畳みかけていきます。
しかし、スンファは答えます。自分の利己的な意思で多くの他人を殺してきたことを後悔しています。戦争を回避する可能性があるなら何が何でもやりたいのです、と。果たして今度は何回目の時間旅行なのか。歴史は変えられるのか。もっとましな選択肢はあるのか、というところで続きます。

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2024年11月 6日 (水)

「사랑 과 혁명 그리고 퀘스트(愛と革命とクエスト)」より #이하진(イ・ハジン)「지오의 의지(ジオの意思)」を読むその3 #韓国の現代SF小説 #韓国 #SF

Sf_20241106173301 業務連絡:次回は十一月二十日(水)午後一時半からです。では、いつもの口上から、おそらく(笑)史上初にして唯一、韓国・朝鮮語自主学習教室数多あれど、韓国の現代SF小説をテキストにした月曜会2。「ディズニープラス」では十月から配信中の韓国ドラマ邦題「ジョンニョン」が大人気だとか。しかし私は名前の日本語訳に納得できない。この場合「チョンニョン」の筈です。
今年7月に刊行された新作ハードSFアンソロジー「사랑 과 혁명 그리고 퀘스트(愛と革命とクエスト)」より、이하진(イ・ハジン)「지오의 의지(ジオの意思)」を読みます、今作で私が想定するテーマは『ハードSFにおける戦争と平和』。その第3回目。
 記者と物理学者の対談中継は続きます。AI(人工知性)ジオが制御するハックは、鏡映世界の反物質を我々の世界に区間を限定、つまり局所的に移動し、代わりにこちらの世界の物質を鏡映世界に転送してしまえるのです。この反物質を電荷して(※つまり電気分解)金属ではなくビームライン(※この場合はおそらく電磁気)で包み込んで「制御」してこのエネルギーを爆弾として利用し、第三次世界大戦で連合国は枢軸国に勝利したのです。しかし今、ハックに蓄積された反物質が飽和状態で、ジオはこれ以上は制御不能であることを人間に対して宣言し、反物質の保存にのみ機能を集中してしまっているのです。記者は、このまま反物質を蓄積し続けたら人類は滅亡するのか、と問うと、物理学者は黙り込んでしまいました。
ここで既にその答えを知っているスンファは映像を消してしまい、悲嘆にくれます。だが同時に疑問も浮かんできました。ジオの能力ならば過負荷防止システムの制御不能状態を感知しても人類の生死を無視して反物質の蓄積を「実験」し続ける試みを続け、人類にこの異常事態を隠し続けて人類滅亡を待つこともできた筈。なぜ、他のデータは正常値を表示し続け、反物質の蓄積量の異常だけを人類に公開したのか?。
※つまりスンファは、このジオの運行に、ジオ自身の「意思」を期待しているのです。
そこで、スンファは、閃きます。ジオの不可解な運行に何か意味があるのではないか。反物質データの蓄積のシステムを調べ直したスンファは、二つの世界の物質=反物質の等価交換の際のエネルギーが「時間の矢」の不可逆性に対して可逆性による混乱を引き起こす可能性を見出しました。これをスンファは、ジオが人類を滅亡から救うための運行をしているのではないか、と考え、今まで倦怠感にとらわれ続けていたスンファの頭脳は興奮し出したのです。

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2024年11月 5日 (火)

#韓国の漫画 #韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20241105) #ディズニープラス「#ジョンニョン:スター誕生」 原作

10 「チョンニョン」10巻完結。原作ソ・イレ(서이레)。漫画ナ・モン(나몬)。文学街(문학동네)刊。9巻の記事はこちら。今年2024年10月からディズニープラスで配信開始された韓国ドラマ「ジョンニョン」の原作ウェブトゥーン(Webtoon:韓国のインターネット漫画)2019年から連載が開始され、この第10巻が刊行され完結した。この10巻は9巻と同時刊行で奥付によると2024年9月発行となっている。
チョンニョンのファン第一号を自称していた、劇作家の娘プヨンの回想は続く。プヨンの女子校の文芸部の先輩とプヨンは「S」の関係だったが、その先輩は、プヨンの婚約者が好きになり交際を申し込んだが、彼に断られ、その腹いせに、文芸誌のコンクール作品の受賞者名をプヨンから彼の名前に変えたのだ。失意の時のプヨンの前に現れたのがチョンニョンだった。そして、これまでのチョンニョンとプヨンのエピソードがプヨンの視点から描写され直され繰り返される。
※「S」というのは、日本では戦前の女子校にあった、先輩と後輩の女子同士の熱い友情。
※回想に入る前に、チョンニョンはプヨンには会えなかったが、プヨンの家で捨てられそうになる台本を見つけてもらっていったエピソードがあった。作家の名前はないが、これがプヨンのオリジナル劇の台本だったらしい。
その回想の中でプヨンのチョンニョンに対する思いと並行して、描かれたのがプヨンの母のこと。実はかつても母も芝居の台本を書いていたが、劇作家の夫、プヨンの父の名で発表されていた。その無念が時に母を苦しめ、普段はまともだが、時に酒におぼれて暴れたり、執筆した台本の原本を暖炉で燃やしたりしていた。
プヨンは書くのをやめていた劇の台本を誰にも内緒で再び書き始めた。だが結局プヨン自身は、あきらめて、婚約者と結婚し、普通の「大人」になることにした。そしてプヨンはチョンニョンに会わなくなった。
梅蘭国劇団は再起に向けて動き出した、先ず、公演の台本選びから始まり、候補作の中から作家不明の台本を選んだのだが、これはどうやらチョンニョンが、見つけたプヨンの台本を紛れ込ませたものらしい。
オギョンオッキョンと共に梅蘭国劇団の二大トップスターだったヘランは、芝居一筋の団長のソボクと違い、経営面も担当し、事業部と後ろ暗いことや政治家との折衝もやっていた、不正に気付いた劇団員トエンも追い出したが、それら全てが失敗すると失意で酒に溺れていた。しかし後輩達の励ましで最後に他団体との協力再開、大口の寄付も取り付けて、舞台からは引退した。
一方で、離れていた団員達も戻ってきた。
プヨンの台本の公演の主役を賭けたオーディションにチョンニョンは合格した。オーディションの結果発表の時プヨンは結婚式を蹴って駆けつけてきた。チョンニョンは再会したプヨンに自分はいつまでも女性国劇を続けるから、いつでも会いに来てくれと約束させる。
 そして7年後1964年12月。女性国劇は第二次全盛期を迎えていた。チョンニョンと仲間達も今や皆、トップスターになっていた。この間、プヨンは破談、家族と共に姿を消していた。年末恒例となった女性国劇団合同公演の閉幕後、控室を訪れた女性が。顔が見えないがプヨンか?振り返って笑顔で迎えるチョンニョン、で本編完結。

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2024年11月 4日 (月)

#韓国の漫画 #韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20241104) #ディズニープラス「#ジョンニョン:スター誕生」 原作

9 「チョンニョン」9巻。原作ソ・イレ(서이레)。漫画ナ・モン(나몬)。文学街(문학동네)刊。8巻の記事はこちら。今年2024年10月からディズニープラスで配信開始された韓国ドラマ「ジョンニョン」の原作ウェブトゥーン(Webtoon:韓国のインターネット漫画)20192020年から連載が開始され、先に第10巻が刊行され完結した。この9巻は奥付によると2024年9月発行となっている。
 クライマックスが近づいて物語が大きく唸り出した。入団試験の演目にチョンニョンが選んだのは韓国人なら誰でも知ってる「沈清(シムチョン)」駅前の路上でチョンニョンが見せたのは高音が出ないしゃがれ声のままで慟哭するのを全身演技でカバーするものだった。その唸り声に聴衆が集まりチョンニョンは梅蘭国劇団に再入団した。
各女性国劇団の経営が傾き始めた。梅蘭国劇団のトップスター、オギョンオッキョンが退団、映画会社と契約した、研究生の一人、チュランが付いていった。事業部は、金を持ち逃げした。退団者が続出して、団長ソボク以下残った者だけで出直すことになった。
チョンニョンのファン第一号を自称していた、劇作家の娘プヨンが、チョンニョンの前から姿を消す、聞いた話では、結婚してアメリカに行くのだという。プヨンは以前チョンニョンに「女は台本を書いても自分の名を出すことはできない。男の名前にしないと」と言っていた。
プヨンの過去のエピソードが挿入される。
プヨンは、「女は男によって出来上がるものだ」と教えられて育ったが、これに反発し女子校に入ると、自分で劇の台本を書き始め、学校連合の文芸誌に応募した。作品は受賞したが、誌面に掲載された名前は、プヨンの婚約者の従兄の名前にされていた。
※ここで物語から退場したオギョンオッキョンの描き方に私は不満がある。これまでにも出てきていたが、韓国漫画にしては珍しく?感情表現が描かれていなかったのだ。何かの伏線かと思っていたのだが最後までそのままだった。彼女はアヘンをやっていたという過去も説明されただけで、女性国劇に飽きた、映画に魅せられたというのも語るだけ、そこに内心の葛藤の表現がなかったのが、不満どころか「何故だ?」とすら思った。

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2024年11月 3日 (日)

#韓国の漫画 #韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20241103) #ディズニープラス「#ジョンニョン:スター誕生」 原作

8 「チョンニョン」8巻。原作ソ・イレ(서이레)。漫画ナ・モン(나몬)。文学街(문학동네)刊。7巻の記事はこちら。今年2024年10月からディズニープラスで配信開始された韓国ドラマ「ジョンニョン」の原作ウェブトゥーン(Webtoon:韓国のインターネット漫画)20192020年から連載が開始され、先に第10巻が刊行され完結した。この8巻は奥付によると2024年5月発行となっている。
女性国劇団同士の会議で、早々と合同公演は解消となり、梅蘭国劇団単独での公演となった。そして公演に向けての、梅蘭国劇団の団員達の稽古と苦悩の描写が中心として進む。
故郷、木浦の実家に戻ったチョンニョンは家の手伝いをしながら失意の日々を過ごす。そこに劇団長カン・ソボクと劇団の劇作家の娘「チョンニョンのファン第一号」を自称するプヨンが訪れる。先ず、ソボクはチョンニョンの母=今は名前を変えているが、昔はチェ・ゴンソン=と話し合う。
※ここに挿入された回想シーンが、チェ・ゴンソンが、初めてソボクとパンソリの師匠の処に来た時のエピソードなのだが、ドラマ版のプロローグシーンが、ここに基づいて作られていたことが分かった。
ここで、ソボクは、チェ・ゴンソンに、チョンニョンはあなたとは違う、あなたはパンソリの歌手としての自分が好きだった。だがチョンニョンは国劇が好きなのだ、と語る。
一方表に飛び出したチョンニョンは、外で待っていたプヨンと会った。初めは揉めた二人だが、チョンニョンは、歌えなくなった自分の不安をプヨンに吐露し出す。そして演技を始めた。チョンニョンは、母にもう一度劇団に戻ってやってみると言う。すると母は「上手くいくかはわからないが、お前がまた歌えるようになる方法があるかもしれない」と告げる。
※この後チョンニョンは直ぐには劇団に戻らず、母とどんなことを試みたのかは、まだ明かされない。
梅蘭国劇団の単独公演「馬鹿と公主」が人々の様々な思惑を交錯させながら始まった。その舞台の描写が続く。そして公演は、大成功に終わった。
一年後、1958年7月。梅蘭国劇団が入団試験を行う。案内状はチョンニョンの所にも届き、満を持したかのように上京する。試験とは極めて特別な課題で、同時刻、団員と入団希望者が各々別の場所で演技し、希望者が団員並みの見物客を集められたら合格とするものだった。

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2024年11月 2日 (土)

#韓国の漫画 #韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20241102) #ディズニープラス「#ジョンニョン:スター誕生」 原作

7_20241102220401 「チョンニョン」7巻。原作ソ・イレ(서이레)。漫画ナ・モン(나몬)。文学街(문학동네)刊。6巻の記事はこちら。今年2024年10月からディズニープラスで配信開始された韓国ドラマ「ジョンニョン」の原作ウェブトゥーン(Webtoon:韓国のインターネット漫画)20192020年から連載が開始され、先に第10巻が刊行され完結した。この7巻は奥付によると2023年11月発行となっている。
1957年5月ソウルで「光復記念合同公演」女性国劇団五団体合同で公演する、朝鮮半島の有名な儒教説話「馬鹿のオンダルとビョンガン公主」に基づく「国劇 馬鹿と公主」のオーディションに向けて劇団員達は盛り上がる。だが練習中にオンダル役の練習をするチョンニョンの歌に相手のピョンガン役の研究生から、チョンニョンの喉は弱い。パンソリ独特の唱法に無理があると指摘された。さらに以前会った母のパンソリの師匠に又会って、教えを請うと、チョンニョンの喉は母親そっくりだ、パンソリには向かない。さらに17歳になった体では喉も出来上がってしまって練習しても直しようがない、と告げられてしまった。
負けん気の強いチョンニョンは、猛練習に励むがやり過ぎて体調が悪化、喉もつぶしてしまった。オーディションもボロボロで、絶望したチョンニョンは、黙って梅蘭国劇団を出て、帰郷してしまった。
 そして、五団体が揃って合同練習が台本読みから始まったが、梅蘭国劇団のトップスターが一人姿を現さず、初日から不穏な動き。本読みも各団体の対抗意識がむき出しになって、途絶した。
さらに、合同公演とはいっても、出資とスタッフは梅蘭国劇団がほとんど持ち出している一方、国会議員の後援、他劇団の思惑も絡み関係者の興行収益の利益配分でも揉めている。そしてオーディション結果を根に持つ他団員と梅蘭国劇団の研究生の喧嘩が始まった。

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2024年11月 1日 (金)

#韓国の漫画 #韓国純情漫画( #순정만화 )感想:最近読んだ原書あれこれ(20241101) #ディズニープラス「#ジョンニョン:スター誕生」 原作

6_20241101200901 「チョンニョン」6巻。原作ソ・イレ(서이레)。漫画ナ・モン(나몬)。文学街(문학동네)刊。5巻の記事はこちら。今年2024年10月からディズニープラスで配信開始された韓国ドラマ「ジョンニョン」の原作ウェブトゥーン(Webtoon:韓国のインターネット漫画)20192020年から連載が開始され、先に第10巻が刊行され完結した。この6巻は奥付によると2023年3月発行となっている。
公演一日目でチョンニョンは団長の怒りを買い、当面謹慎。落ち込むチョンニョンだが何がいけなかったのかさっぱりわからない。
※歌うことしか知らない田舎者のチョンニョンは、舞台演劇は皆で作るものだということが、本当に、まだ分かっていないのだ。
そこで、友達の一人が、自分の通う女子中高等学校にチョンニョンを連れていき、合唱部に会わせる。
※チョンニョンは「合唱」さえ知らなかったのだ。
そして異なる音声と音声が一緒になって一つの合唱曲を作り出すこと、それは演劇も同じだ、ということをチョンニョンに教える。ここからやり直す為に、自分の役以外、舞台の台本を全て読み暗記し、稽古し、登場人物一人一人の気持ちを考え始め、台本読みの相手として、その友達にも手伝ってもらう。
その間も定期公演は続き、助演で活躍していた研究生の一人が過労で倒れてしまう。団長の指名した代役がビビるのを見るや、チョンニョンは自分が出る、と名乗り出る。チョンニョンの決意に賭けた団長の英断で舞台に上がったチョンニョンは、今度は劇の中の一人として見事に演じきった。そして定期公演が終わると、そのまま地方巡回公演にも出演が決まった。その時「チョンニョンのファン第一号」を自認する、チョンニョンを今迄助けてくれた友達が、実は、この女性国劇団の劇作家の娘だと知ったのだった。
その次は、1957年5月ソウルで「光復記念合同公演」女性国劇団五団体合同で公演する、朝鮮半島の有名な儒教説話「馬鹿のオンダルとビョンガン公主」に基づく「国劇 馬鹿と公主」のオーディションに向けて劇団員達は盛り上がる。

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